もらい火しにくい家づくり。「延焼のおそれのある部分」がどこかを知ろう

もらい火しにくい家づくりをするためには、どこを防火すべきかについて考えておく必要があります。家には「延焼のおそれのある部分」があり、こうした用語を考えることで、どこを防火すべきかが分かってきます。ここでは、もらい火しにくい防火構造の住宅を建てるために、どこを防火すべきか、用語から学んでみることにしましょう。

「延焼のおそれのある部分」ってどんなところ?

住宅において「延焼のおそれのある部分」とは、特に延焼の影響を受けやすくて耐火性が求められる部分のことです。住宅性能表示基準の防火等級では、隣地境界線や道路境界線、道路中央線からの距離が近いところは「延焼のおそれがある部分」で、耐火性能を高めなくてはいけないという規定があります。よって、住宅の外壁や軒裏、屋根の部分は特に延焼のおそれがあり、火災に強い構造が求められています。とりわけ、窓やドアといった開口部は延焼のおそれが大きいですから、火災に強い防火戸にしたり、網入り窓ガラスにするなどの対策をする必要があります。

延焼のおそれのある部分

防火構造とそれを実現するための材料ってどんなもの?

住宅の防火構造とは、近隣で火災が発生した際に、延焼の影響を受けにくい仕様や構造のことです。具体的には、耐火性を備えた材質で、外壁や軒裏、屋根などを作ることが求められています。防火構造を実現するために、一定の防火規定をクリアしたスレートや窯業系サイディング、ケイ酸カルシウム板などの不燃材料を使用する必要があります。また、金属屋根や防火認定を受けた鉄鋼モルタル、金属板サイディングなどが使用されています。

耐火の性能を計るものさしって?

耐火性能を計るためには、「耐火時間」をものさしとして使います。これは材料に明記されている、火炎を遮る時間の長さのこと。住宅性能表示基準では、開口部か否かによって異なる基準を設け、耐火時間が長い材料を使用している家には高い耐火等級を与えています。

開口部の場合

耐火等級3の要求:火炎を遮る時間が 60 分相当以上
耐火等級2の要求:火炎を遮る時間が 20 分相当以上
耐火等級1の要求:その他(ただし、消防法の定める性能を満たす)

開口部以外の場合

耐火等級4の要求:火炎を遮る時間が 60 分相当以上
耐火等級3の要求:火炎を遮る時間が 45 分相当以上
耐火等級2の要求:火炎を遮る時間が 20 分相当以上
耐火等級1の要求:その他(ただし、消防法の定める性能を満たす)

まとめると、耐火等級2,4では扱いに違いがありませんが、耐火等級3においては、開口部のほうが高い耐火性能を求められることが分かります。
最高等級である耐火等級4を取得するには、すべての延焼のおそれのある部分に、60分相当以上の耐火性能を持つ材料を使う必要があります。

もらい火しにくい家作りなら住まいのプロに相談してみては?

もらい火しにくい家作りをするためには、防火について十分に検討しておく必要があります。「延焼のおそれのある部分」について理解することで、どこを防火構造にすべきかが見えてきます。また、不燃材料を使用することで、防火基準に達した家づくりを実現することができます。とはいえ、耐火性や防火性のある家作りには、不明なことも多いと思います。もし不明な部分があるならば、プロに相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ

もらい火しにくい家を建てるために、「延焼のおそれのある部分」をしっかりと理解し、防火構造を実現する不燃材料を使用するようにしましょう。耐火性や防火性について十分に検討して、安心して暮らせる家づくりを心がけましょう。