「心のバリアフリー」を叶える洗面台。車椅子でも活き活きと暮らせる洗面台の考察

車椅子のままでも使いやすい洗面台と鏡

多目的トイレの洗面台は足元が空洞になっており、車椅子でもすんなりと手を洗えるようになっています。
また、鏡も車椅子でも見れるように角度がついていたり、低めの位置に鏡を設置したりして身だしなみを確認できるように工夫されているところが多いです。
オムツ替え等で多目的トイレを利用したことのある方はこのような洗面台と鏡を見たことがある方も多いのではないでしょうか?

一般家庭の洗面台では通常洗面ボウルの下は収納になっていることが多いですが、これだと車椅子では蛇口に手が届きにくく、使い勝手はあまり良いとは言えません。
また、洗面台に付属の鏡は立って使用されることが想定されているため、蛇口より10〜20センチくらい高い場所から設置されている場合が多いです。

しかし、車椅子に座ったままだとこの鏡を見ることはできませんし、奥にある蛇口に手が届くように、足元が洗面台の下に入り込むようなスペースが必要になります。

車椅子でも使いやすい洗面所にするためには、足元のスペースの確保と鏡の位置がとても大切になるのです。

新築の洗面台を選ぶ前に知ってほしい「訪問美容」のこと

高齢になったり障害を負ったりして車椅子での生活を余儀なくされたとしても、できるだけオシャレを楽しみたいものです。

体が不自由だからとオシャレを諦めると心も塞ぎ込みがちになってしまいますし、逆に身なりを整えていれば外出も楽しくなり、心も明るくなるものです。

しかし、車椅子で利用できる美容室はかぎられていますし、そこまで行くのもなかなか大変です。

そのような場合は「訪問美容」を受けられることがあります。
一定の条件を満たせば、美容室の出張サービスのというような感じで自宅で美容や理容のサービスを受けられます。

美容室と同じようなメニューを受けられるため、シャンプー等は自宅の洗面台を利用することになります。
このようなサービスを利用する場合でも、車椅子で利用のしやすい洗面台が求められるのです。

訪問美容の気分を高めるために

もしも、使い勝手の良い洗面台に、車椅子に座ったままでもよく見える大き目の鏡を設置していれば、まるでそこが美容室であるかのように訪問美容のサービスを受けられるでしょう。

お気に入りの雑貨などで飾り付けをすればよりサロンのような雰囲気を楽しめるかもしれません。

なかなか外出ができなくても、自宅でサロンのような雰囲気を楽しみながら施術が出来れば、気分が明るくなることでしょう。
また、身だしなみを整えることで外に出る意欲も湧くかもしれません。

訪問美容はあくまで一例にすぎませんが、バリアフリーの設備を整える場合はただ使えるか使えないかということだけでなく、要介護者のQOLが上がるような工夫も必要なのです。

将来の家族の気持ちにも向き合った家づくりを

障害のあるなしにかかわらず、家づくりでは住む人の心に寄り添うことが大切だと考えます。
上記のような設備は家を建てる時に必要だという人はごく僅かでしょう。

しかし、何十年後に必要になる可能性は誰しもが持ち合わせているのです。

家づくりでは現在はもちろん、将来も使い勝手の良い工夫が必要です。

そのためには、お施主様ご自身での情報収集も大切ですが、知識の豊富な施工業者を選ぶことも大切です。

著者プロフィール

maitoran(堀江麻衣)
ライター 堀江麻衣さん近影

不動産分野全般に執筆実績と関心のあるフリーライター。
2014年に中途で障害を持ち、以来「日々の暮らしの”不便”を”便利”に変える」をモットーに、家づくりについて研究中。
日々、住まいを改造・改築しながら、快適な家づくりを目指している。
趣味:スケート観戦、ハンドメイド(羊毛フェルトでなんでも作る)、間取り図を見ること、旅行。
2匹の犬と暮らして溺愛中。

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