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バリアフリーのための「段差のない家」 設計上大切なGLとFLって?
家の高低差とバリアフリーは切っても切れない関係
近年の家は昔の家に比べると、家の中の段差や高低差は少なくなってきていますが、ほんの数センチの段差でも車椅子や杖を使用している方にとっては大きな障壁となります。
日本の家屋は、土地外周の地盤と玄関の間がフラットではないことがほとんどで、少なからず段差(高低差)がある設計となっています。車椅子ではこの段差を上がることは困難なため、玄関までスロープを設置することになります。しかし、地盤と玄関までの高低差が大きな設計だと、スロープの勾配がきつくなってしまい、自力で登ることが困難だったり、自力で登れても転倒のリスクがあったりします。
また、玄関の上り框(のぼりかまち)が高いと、車椅子のままでは自力で登ることができません。
今回は、家のバリアフリーを考える上で外せない、家の高低差について説明します。
GL(グラウンドレベル)とFL(フロアライン)
バリアフリーを考える上で、高低差を抑えることが大切になるのは、上述した通りです。その高低差を抑える際の目安となるのが、GL(グラウンドレベル)とFL(フロアライン)です。
GLとは?
GL(グラウンドレベル)は、建物の外周に接する地面の高さのことです(level = 高さ)。地面の高さは外周のどこで測るかによって微妙に異なるため、GLは一義的に定まる数字ではありませんが、施工上重要なのが設計GLと呼ばれる、工事完了時のGLの基準値です。各階の床高や天井高など、建物各所の高さは、設計GLを基準として測定されるため、とても大切な数字です。建築物の図面には、設計GLが必ず書かれています。
GLが上がると、アプローチの勾配がきつくなるので、バリアフリーの観点からは低いほうが良いですが、床下防湿や排水(水勾配)の関係から、高くせざるを得ない場合があります。もし、スロープを設置するのが難しい勾配になる場合は、昇降機を設置するなどして対応します。
FLとは?
フロアラインと読み、床高さとも言います。
FLは各階の床高さであるため、階ごとに数値を求めます。
1階のFLを1FL、2階のFLを2FLなどと言います。
玄関の高低差を抑えるにはどうすればいい?
玄関の高低差 = 1FL(1階床高さ) – GL(グラウンドレベル)
であるため、玄関の高低差を抑えるためには1FLとGLの差をなるべく小さくすることが大切です。
劣化対策・維持管理対策とバリアフリーの意外な関係
建築基準法には、1FLとGLの差に関する重要な条文があります。
「床の高さは、直下の地面からその床の上面まで45cm以上とすること。」
(建築基準法施行令 第2章 第2節 第22条より抜粋)
つまり、1FLとGLは最低45cm以上離すことが法律で義務付けられているのです。
なぜこの条文があるかというと、大きく2つの理由があります。
劣化対策のため
日本は高温多湿な気候のため、地面から建物の底面へと、水蒸気が盛んに上がってきます。GLと1FLの間隔があまり狭いと床下換気が滞り、木造の土台や床などに腐食や害虫被害が発生してしまう恐れがあります。
維持管理対策のため
床下には、配管・土台・床下地といった、点検調査が必要な箇所があります。
これらの調査の際は、調査員が床下に潜り込んで作業を行うので、人が入り込むのに必要なスペースを確保する必要があります。そのため、GLと1FLには間隔を空けておく必要があります。
GLと1FLの差を小さくできる例外がある
なお、この条文には重要な補足があります。
「ただし、床下をコンクリート、たたきその他これらに類する材料で覆う場合及び当該最下階の居室の床の構造が、地面から発生する水蒸気によって腐食しないものとして、国土交通大臣の認定を受けたものである場合においては、この限りでない。」
(建築基準法施行令 第2章 第2節 第22条より抜粋)
このような住宅が例外として認められるのは、基礎の構造によって十分な床下防湿効果がある宅に関しては、水蒸気に対する劣化対策のための空間が不要であるため、GLと1FLの差を大きくする必要がなくなるからです。
「床下をコンクリートで覆う場合」は俗にべた基礎と呼ばれ、現在の基礎工事の主流となっています。
長寿命化 × バリアフリー化 でできること
バリアフリー住宅のためにはできるだけフラットな設計が理想です。しかし、家そのものを健全に維持していくためには、どうしても設計上高低差が必要になる箇所があるということがわかりましたね。
リガードは、家が劣化せず長く住み続けられるという長寿命化と、その暮らしが家族にとっていつまでも快適であるというバリアフリー化、これらの掛け算で住宅の価値を大きくできると考えています。
そのために必要な検討を、お客様一人一人に対して行っています。
いつまでも家族が不自由なく暮らせる家なら、リガードへご相談ください。
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