両親との同居に適した、バリアフリーの間取り・階段・手すりの設計

将来の両親の介護を見据えた間取り作りを

新居を建てるときは夫婦二人の生活でも、子供が産まれたときのことを考えて間取りの設計をすることは、将来お子さんを設ける計画をしているご家族にとっては大きな関心ごとであると言えます。このことについては打ち合わせの初期段階から相談をされる方が多く、自然と話し合いが生まれます。
一方、ご実家で暮らしている双方のご両親について、「今は元気だから」、「今後も同居の予定はないから」と設計段階で同居を考慮に入れない方は多くいらっしゃいます。現在は一緒に住む予定がなくても、家を建てたら何十年とマイホームに住むわけですから、将来介護が必要になり同居をすることもあるかもしれません。将来にわたってご家族がのびのびと暮らせるように、その時を想定して間取りを工夫しておくことが大切です。

バリアフリーのための間取りとは?

以降の内容は、高齢者等配慮対策等級3で定められている内容を参考に述べていきます。
高齢者に限らず、人が日常生活を営むには、玄関、トイレ、浴室、脱衣室、洗面所、食事室、寝室が最低限必要です。
これらを「日常生活空間」と呼び、バリアフリーを考える上では日常生活空間に段差が生じないよう配慮して設計を行うことになります。
ホームエレベーターを設置するなどの特殊な場合を除き、上記すべての日常生活空間は、寝室と同じ階に属するよう間取りを設計していきます。

バリアフリーと階段

バリアフリーの観点では、階段を利用しなくても良い間取りが理想ですが、階段のない平屋の家は都市部では現実的ではありませんね。そのため階段の昇降についても想定しておかなければなりません。

階段の勾配

階段の勾配は22/21以下(およそ46度以下)とし、各部について適切な寸法を取ります。

階段昇降機について

階段昇降が困難で、居室が2階にあるなど昇降の必要が高い場合は、階段昇降機またはホームエレベーターを施工します。
ホームエレベーターは施工事例が増えてきていますが、荷物等の運び出しを足腰の不自由な方自身で行う必要のある場合(高齢者のみの世帯等)でなければ、設置は不要な場合が多いです。初期費用と維持費用、どちらも高額なので、導入はよく検討しましょう。

バリアフリーと手すり

手すりの取り付けは、高齢者の様々な動作を楽にしてくれます。

各施工場所における手すりの用途

階段 階段を安全に昇降するため
転倒事故防止・ふらつき防止
トイレ 転倒防止・座位の安定
衣服の着脱などの動作をスムーズに行うため
浴室 滑りやすいため転倒防止
浴槽へのスムーズな出入り
玄関 履物を脱ぎ着する際のふらつき防止
段差がある場合は昇降の補助
脱衣室 洗顔・歯磨き・服の着脱などの動作の際のふらつき防止

階段や廊下など、歩行を補助する目的で手すりを施工する際は、しっかりと体を支えられる高さにすることが重要ですが、一般には自然に直立したときの尺骨茎突点(手首の小指側にある出っ張った骨)の高さが最適と言われています。通常、地面から650mm〜750mmの高さになります。しかし、個人差があるため、手すりを利用する人の使いやすい位置を試して設置すると良いでしょう。

車椅子の利用に備えて – 有効幅員の確保

車椅子利用に備えて、通路の有効幅員を最低780mm確保する必要があります。
車椅子と幅員の関係については以下の記事で詳しく紹介しています。

・車椅子の幅(寸法)から考えるバリアフリー 内法寸法とは何?

将来を見越したバリアフリー設計を考えよう

住宅は何世代にもわたってお施主様の財産として残り続けます。何十年も使い続けるからこそ、生活スタイルが変化しても柔軟に対応できる家を建てるようにしましょう。
生涯にわたって住まいやすい、高齢者対策の施された家ならリガードまでご相談ください。