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被災時の生活は避難所か自宅か。車椅子ライターが考える「避難生活」
災害時必ず避難所に向かわなければいけないの?
もしも災害が起きたら、「避難所で過ごさなければならない」と考える人は多いのかもしれません。
そのために自宅近くの避難所を調べて見たり、そこまでのルートを調べて見たりしている方は多いかと思います。
しかし、被害の状況等によっては必ずしも避難所が正解とは限りません。
避難所は避難物資等が自宅などに比べて早く届きやすい反面、プライバシーの確保が難しいなどのデメリットも存在します。
特に車椅子ユーザーにとっては床座が基本となる避難所生活は厳しいものがあります。
車椅子のまま利用できる多目的トイレの数も限りがあるので、健常者の方に比べて目に見える不便は多くなるかと思います。
筆者は車椅子歴約4年程の新米車椅子ユーザーです。
幸いにも車椅子になってから大きな災害に見舞われたことはまだありません。
しかし、過去の震災等を思い出すと、その当時車椅子だったら同じ行動ができていたかというと、答えはノーになると思います。
車椅子ユーザーの友人の中には、災害時自宅で過ごすという選択をした方もいます。
万が一の災害発生時に避難所へ行くか、自宅で過ごすか・・・
避難が難しい車椅子ユーザーは特に日頃からこの問題について考えておくようにすると良いかもしれません。
災害時にどこで過ごすか、適切な判断をするために
車椅子ユーザーの自宅は、自力でまたは少ない介助で日常動作ができるようにするために、住宅改修している場合が多いです。トイレやお風呂に手すりを設置したり、浴槽に入れるようにリフトが設置してある場合もあります。
このように環境をオーダーメイドで整えなければ生活が成り立たない場合が多いのですが、避難所は多くの方が利用する場所になりますので、このような改修はありません。
トイレや廊下に手すりがあっても、片麻痺の麻痺側に設置されていて使用できないといったケースも考えられます。
もちろん自宅周辺が避難区域であったり、甚大な被害を受けた場所であれば避難所に向かわなければなりません。
しかし、そうではない場合は自宅に残った方が生活がしやすい場合もあるかもしれません。
自宅での生活を選択した場合、その後の余震などの不安もありますが、その判断基準として「耐震等級3」、「構造計算」などといった耐震基準をきちんとクリアしているかどうかが挙げられます。
木造住宅の場合、基本的には建物の構造計算が免除されているのですが、やはりきちんと構造計算をすることでどれだけの地震に耐えられるのかといったことを数値化できます。
耐震等級3は、数百年一度の大地震の1.5倍の力でも倒壊しないという条件なので、自宅で生活できるかの判断基準になります。
また、高層マンションに住んでいたり、オフィスビルの高層階にいる時に被災をしてしまった場合は、その場に留まる方が得策かもしれません。
災害時は基本的にエレベーターが停止してしまうため、車椅子でも階段で降りなければなりません。
誰かにおんぶをしてもらったり、車椅子を担いでもらう必要があるので複数人の介助が必要ですし、本人も介助者も危険が伴います。
災害発生時の状況などにより、どのような判断が適切かどうかは変わってきます。
しかし、ベストな対応ができるように避難所に行くための準備、自宅や職場にとどまるための準備、どちらも怠らないようにしておくと良いでしょう。
避難の方法に正解はない
車椅子ユーザーのような避難が単独では難しい人は「避難困難者」と呼ばれています。
行政でも避難困難者登録制度など、避難困難者でもしっかりと避難ができるような対策を始めています。
避難の選択は災害の発生状況や身体状況などによりベストな方法は変わってきます。
災害時には避難後の生活まで考えて行動することは難しいです。
日頃から避難方法のほか、避難後の生活までをシミュレーションしておくことで、もしもの際にも慌てずに行動できると思います。
著者プロフィール
不動産分野全般に執筆実績と関心のあるフリーライター。
2014年に中途で障害を持ち、以来「日々の暮らしの”不便”を”便利”に変える」をモットーに、家づくりについて研究中。
日々、住まいを改造・改築しながら、快適な家づくりを目指している。
趣味:スケート観戦、ハンドメイド(羊毛フェルトでなんでも作る)、間取り図を見ること、旅行。
2匹の犬と暮らして溺愛中。
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