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住むコトブログHOUSE BLOG
バリアフリー住宅のための土地探し。足の不自由な方が暮らす地域に求められること
障害があっても健やかに暮らせる家なら、土地探しに工夫が必要
家を建ててからバリアフリーについて考えてみても、どうしても改善できないポイント、その筆頭格が施工地の「周辺地域の環境」です。障害があっても快適な家づくりのためには、土地探しの段階から工夫が必要になります。
バリアフリーの観点から考える土地探しのポイント
普段車椅子で生活をしている者が、バリアフリー性の高い土地のポイントを考えまとめてみました。足が不自由な方が快適に自立した生活を送るためには、以下のポイントを抑えておくと良いでしょう。
自宅から駅やバス停までのルート
足が不自由な方が通勤や通学で公共交通機関を利用する場合、バス停や駅までのルートに勾配や段差などの「バリア」(障壁)になるものがないかをチェックする必要があります。また、歩道の幅も要チェックです。安全のため、あまり車道に出ないで通れるようなルート選びが大切です。
近隣施設がバリアフリーになっているか
近隣のコンビニやスーパー、病院などがバリアフリーになっているかも重要なポイントです。徒歩圏内に気軽にいける施設があると、安心感にもつながります。
駐車場やエントランスは広く取る必要がある
車椅子で自動車を利用する場合、乗降のために駐車場の幅は広く取る必要があります。また、玄関前にはスロープを設置することが望ましいので、スロープのスペース確保も必要です。以上のことから、バリアフリー対策を施す家では、必然的に広めの土地が必要になります。
このようなチェックポイントは、実際に本人が現地を確認して見ないとわからない部分があります。候補地が見つかったら、その周辺地域を、足の不自由な方もご一緒に散策しながら、住みやすさについてチェックしてみると良いでしょう。
土地探しにおける、バリアフリーマップとIT(ICT)利活用
土地探しでは、実際に見てみることが一番大切ですが、家族の予定が合わなかったり、外出自体が困難だったりと、中々難しい場合もありますよね。
そのような時に今後活用が期待できるツールが、バリアフリー対応施設やトイレの有無、段差の有無などのバリアフリー情報がまとめられているバリアフリーマップです。
バリアフリーマップは、自治体がまとめているもの、実際に車椅子等で生活している方々の声を集めたアプリなどがあります。
2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けてバリアフリーの「見える化」が推進されているようです。
ただ、様々な情報源があるのは非常にありがたい反面、同じような趣旨のアプリが複数あるために、現状では一つの媒体に情報が集約しきれていないようにも見受けられます。また、都市部の情報は比較的集まりますが、地方の情報はほとんどないと言った地域格差もまだまだ課題であると言えます。
さらに、駅や施設の中のバリアフリー情報は充実していても、その場所に行くまでの「経路」がバリアフリーかどうかまではわからないことが多いように見受けられます。
施設のバリアフリー状況もとても大切な情報ですが、意外と見落とされがちなのが「道」だと思います。勾配や段差、道がガタガタしていないか、また自転車などで歩道が塞がれていたりしないか…など、外の情報もマップに反映されて行くとより便利になるのではないでしょうか?
例えば、当事者が様々な情報を書き込める地図SNSに、トイレや段差の情報だけではなく、「自転車の違法駐輪が多く通りにくい」、「道がガタガタしている」、「歩道が狭く人通りが多い」など、細かな情報も書き込めるようになると、現地に赴いてから困ることも少なくなるのではと思います。
土地探しにバリアフリーマップは有用か
現状では、バリアフリーマップのみで土地探しの判断を行える状態にはまだ至っていないように思えます。
しかし、バリアフリーマップの作成は、当事者の声が何よりも大切です。様々な参加型アプリがありますので、当事者の声をどんどん投稿していけば、将来的には土地探しにも十分使える情報が手に入るツールになるかもしれません。さらに、いつかは複数のアプリの情報が一元化され、表記も統一されるとより便利で使いやすくなるのではと思います。まずは、このようなバリアフリーマップづくりに参加してみることから始めて見ても良いでしょう。
一人一人が参加をして行くことで、今後「バリアフリーマップ」の決定版ができるかもしれません。
著者プロフィール
不動産分野全般に執筆実績と関心のあるフリーライター。
2014年に中途で障害を持ち、以来「日々の暮らしの”不便”を”便利”に変える」をモットーに、家づくりについて研究中。
日々、住まいを改造・改築しながら、快適な家づくりを目指している。
趣味:スケート観戦、ハンドメイド(羊毛フェルトでなんでも作る)、間取り図を見ること、旅行。
2匹の犬と暮らして溺愛中。
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