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二世帯住宅を建てるということ 親世帯と同居する間取りの指針
二世帯住宅にストレスはつきもの
二世帯住宅を建てるということは、もともと別の暮らしをしていた二つの家族が、一つ屋根の下で同居を始めるということです。
平成25年度、二世帯住宅に供する土地の相続に関して、「小規模宅地等の特例」を適用できる条件が緩和されるということが話題になりました。二世帯住宅に供する土地の相続税(正確には固定資産評価額)が8割減になる要件の緩和ということで、二世帯住宅が税制上大きく有利になりました。(詳細は今後の記事で紹介していきます。)
このように二世帯住宅のメリットが増えたことで、ハウスメーカーや工務店など各社がお施主様に売り込みをかけたため、二世帯住宅の施工は大きく推進されたものと思います。(着工数の統計がないので正確な数字はわかりませんが…)
しかし、法律が変わったからといって、二世帯住宅が好ましいとは限りません。確かに税制上有利になることで、金銭面のメリットは大きなものがありますが、二世帯住宅には特有のストレスがあります。また、その影響がどれくらいかということはご家族の関係性やそれぞれの性格などにもよります。常に一緒に過ごしたいご家族もいらっしゃれば、プライバシーが守られていないと嫌なご家族もいらっしゃいます。ご家族の中の何人かは一緒に過ごしたいと思っても、何人かは一人の時間を大切にしたいと考えているなど、ご家族の中で考えが違う場合もあります。
しかし、このような希望を口に出すのは憚られるもので、打ち合わせの場で伝えられず、二世帯住宅では一部のご家族が我慢をしながら生活をしていく…と言うことも少なくないのです。
本記事では、二世帯住宅にどんな利点があり、ストレスがあるかということについてご紹介します。二世帯住宅を建てようか悩んでいるお施主様にとって、参考になることを願っています。
完全分離型二世帯住宅と同居型二世帯住宅
二世帯住宅には完全分離型と同居型があります。完全分離型の場合、例えば親世帯が1階、子世帯が2階と生活空間が分かれています。そのため、玄関、キッチン、トイレ、お風呂などが二つ必要になるため、同居型に比べてコストが大きくなります。ですので、完全分離型を希望していても、予算によっては施工が難しい場合もあります。
同居型はコストが抑えられますが、親世帯と子世帯で共用部分が多いため、生活スタイルの違いなどからお互いにストレスが溜まってしまう可能性があります。
二世帯住宅 共用玄関の生活像
二世帯では家族の人数が多くなるため、必然的に靴の数も多くなります。また、学校や仕事などでみんなが一斉に出かける朝は玄関がゴタゴタしてしまいがちなので、共用玄関の場合は広めのスペースを取ると良いでしょう。
共用玄関ですと、子世帯だけで出かけたいと言う時に親世帯に察せられてしまいます。親世帯のお父様・お母様(お義父様・お義母様)は子世帯の外出先についてはつい気になってしまうものですが、「外出の度に行き先を訊かれるのがストレスになっている」という方もおられるので、設計時にはそういったシーンのことも考えてみるべきです。
二世帯住宅 共用お風呂の生活像
共用お風呂の場合、大人数が一つのお風呂を利用するため、お風呂に入れる時間が限られると言うことがあります。長風呂派の方には辛いですよね。また、親世帯、子世帯でお風呂の使い方が違うなどでトラブルになるケースもあるようです。また、お風呂が共用ですと脱衣所も共用となり、洗濯機も共用のケースが多く、洗濯機を回す時間帯などでトラブルになってしまうケースもあります。いずれも、同居前にしっかりと話し合いをしておくと良いでしょう。
二世帯住宅 共用キッチンの生活像
共用キッチンの場合食事も一緒に食べるケースが多いです。そうすると親世帯が子世帯の分の食事を作ったり、子世帯が親世帯の分を作ったりしますが、食事の好みやご病気などで制限されているものなどでメニューに悩まれる方が多いです。
食事を別々にしてもキッチンを使用したい時間帯はほぼ同じですので、複数人が一度に使える広いスペースが必要です。また、冷蔵庫は別々にした方がトラブルが少なくて済むでしょう。
二世帯住宅の設計では、生活のイメージが大切
二世帯住宅の施工が成功裡に運ぶかどうかは、打ち合わせ段階でどこまで家族の生活について想像が行き届くかと言うことにかかっています。住んでみてから我慢を強いられる家族がおらず、家族みんなが快適に過ごせるようにするべきです。
しかし、実際に暮らしていない家について想像することは、とても困難です。だからこそ、家づくりのプロである施工者が、想像を広げるお手伝いをせねばなりません。お施主様に色々な質問をし、提案することで、お施主様がだんだん本音を語ってくれるようになった時、一番心地よい距離感の二世帯住宅が造れるようになるのです。二世帯住宅の施工の際には、しっかりと話を聞いてくれる施工会社を選ぶようにしましょう。
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