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「燃えない街づくり」ってどんなもの? 木密地域の不燃化対策

木密地域はなぜ危険なの?

これから家を建てようと思っている方が、土地を選ぶときにぜひ気をつけていただきたいのが、「地域の防火性」です。

木造密集地域、いわゆる木密地域と呼ばれるような地域では、火災が起きたときに燃え広がりやすく、場合によっては多くの犠牲者を出してしまう可能性もあります。

なぜ木密地域地域が危ないかと言うと、一般的に以下の条件を満たす住宅地は、火災の危険性が高いとされているからです。

  1. 狭小な敷地に高密度に建築物が建て並ぶ
  2. 地域内の道路・公園等の公共施設が不十分
  3. 老朽木造建築物が多く存在する

木密地域の場合、これらの条件を一部、または全て満たしています。

火事が起きた際に燃え広がりやすい木密地域を擁する各自治体は、火災による惨事を防ぐために、街全体を火事に強くする「不燃化政策」を進めています。

墨田区に学ぶ木密地域の対策

旧来より下町情緒あふれる墨田区では、木密地域の不燃化対策が課題でした。

軒高の揃った木造住宅が立ち並ぶ景観は、風情があって素敵ですが、木造建築が密集しているため燃え広がりやすいと言うデメリットがあります。

そこで、墨田区では「逃げないですむ燃えない街づくり」と言うスローガンの下、街の不燃化対策を進めてきました。

その中心的な取り組みが、既存住宅の防火・耐震化の改修に対して補助金を出し、支援をすることです。

延焼のおそれのある部分とは

住宅の防火対策においては、軒裏・外壁・外壁開口部を「延焼のおそれのある部分」と呼びます。

この部分は、隣家が火事になったとき、火が最初に燃え移る部分だからです。

そのため、防火改修では、この延焼のおそれのある部分を燃えにくいように補強をします。

外壁には燃え移りを防ぐための不燃パネルを貼り付けます。さらに、外壁の内側にも石膏ボードなどの不燃素材を貼り付けます。

開口部には網入りガラスや防火シャッターを取り付け、火災の延焼やガラスの飛散を防止します。

軒裏には、燃え移りを防ぐために不燃パネルを貼り付けます。

さらに、筋交いを入れるなどして強度を高め、建物を倒壊しにくくします。

これは防火性のみならず、火災時において建物が長時間構造を保つための耐火性を高める工夫と言えます。

実は、このような防火改修の方法は、現在新築時に行う防火のための措置と全く同じことです。

現在の新築木造住宅では、このような防火改修の内容を、最初から取り入れてと言うわけですね。

防火性・耐火性を高める工夫については、過去記事で詳しく紹介しています。

・防火・耐火の二つの方向性 「燃えしろ設計」と「ボードによる被覆」

・軒裏はどうして重点的に防火しなくてはならない?防火規制のなぜ

リストと区域図でわかる「著しく危険な密集市街地」

東京や大阪など都市部で火災時に特に危険とされる地域は、国土交通省で「著しく危険な密集市街地」としてリスト化され、区域図にまとめられています。

「報道発表資料:「地震時等に著しく危険な密集市街地」について – 国土交通省」

東京都のデータを見てみると、危険とされる地域数は113地域、合計の広さは1683ヘクタール(およそ510万坪)にも及びます。

これらの該当地域にこれから家を建てたいと考えている方は、その地域が不燃化に向けてどのような取り組みをしているか、一度調べてみることをお勧めします。

上記ページには、各自治体の窓口について記載がありますので、どのような取り組みを行っているかを問い合わせてみるのも良いでしょう。

新築住宅の防火性は心配ないの?

新築住宅の防火性については心配はいらないのでしょうか?

木造住宅に関しては、用途地域制限の文脈で「準耐火構造」、火災保険の文脈で「T構造」と呼ばれるような構造を選ぶことによって、耐火・防火性の高い住宅を実現することができます。

このような構造を選ぶことによって、防火性を高めるだけでなく、火災保険料を安く抑えることができるなどのメリットもあります。

詳しくは以下の記事を参考にしてください。

・45分準耐火と1時間準耐火の違い 防火性能にどれぐらい差がつく?

・M構造、T構造、H構造 頭文字で覚える構造級別と火災保険料

現在では、このような構造を採用している住宅は珍しくありません。

地域によっては、このような住宅でないと建てることができない場合もあります。延焼のリスクが低い住宅が、現在の新築住宅のスタンダードとなっているのですね。

しかし、家を建てたらずっと住まう街のことです。

既存住宅を含め、街全体が不燃化を目指していることが、施主にとっても望ましいと言えるでしょう。

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