Lifestyle stories

Beginning lifestyle
浅見邸
ありのままの生活を刻みながら、家族とともに変化を楽しむ家
建築家夫妻とリガードの合作で建てる家
ご夫婦共に一級建築士でいらっしゃるので、ハウスメーカーを挟まず、ご自身で施工を進めるという選択肢もあったかと思いますが、どういった経緯でリガードへ依頼することになったでしょうか?
奥様:私たちは建築士ではあるんですが、普段扱っているのは公共施設が多いので、住宅ならではの設計や、長く住むために必要な性能や機能を確保できるのか、というところに不安があったんです。
旦那様:設計は自分たちでできても、施工の品質を確保できなければ住宅として不十分なので、住宅設計の専門的な意見をお聞きしながら進めていきたいと思いました。そこは住宅のプロに相談したり頼ったりしながら進めていくのがベストだと思いました。あとは、ちょうど子どもが生まれるタイミングでもあったので、自分たちで工務店を見つけてスケジュール管理や細かなやり取りをするというのは難しいのでは?と思っていました。
リガードはどこでお知りになったのでしょうか。
奥様:私がたまたまInstagramで見つけました。大手のハウスメーカーというよりも、地元を大切にしながら一軒一軒丁寧に建てているところを探していました。Instagramでいろいろ見ている時に「この家、素敵だな。性能も良さそう」と思ったのがリガードさんの家で、すぐに問い合わせをしました。
その段階ですでに基本設計は自分たちで終えていたのですが、普通の家づくりだと設計図をハウスメーカーへ持ち込むような形はスタンダードではないので、正直難しいのでは? と当初は思っていたのですが、リガードさんは快く引き受けてくださいました。
浅見様のお宅を担当したリガードの設計士に話を聞く機会があったのですが、「同じ設計士としてすごく刺激的だった」「浅見さんが描いた理想にどうしたら近づくか、そこに徹したいと思っていた」と話していました。設計図を持ち込み、具体的に打ち合わせなどを進めていくなかで、リガードからはどんなアドバイスや提案があったのでしょうか。
旦那様:まず、自分たちのプランや、やりたいと思っていることに対して共感してくださるのがすごく嬉しかったですね。私たちのアイデアを「良いですね!」と言ってくれて、それがどうやったら実現できるかを第三者的な視点を交えながら一緒に真剣に考えてくれました。
具体的なところでいうと、やはり断熱性や気密性ですね。僕らの設計を活かしながら、それらの目標数値をどうしたらクリアできるのか…というところで、サッシまわりや随所の収まり、素材の使い方などを細かくご提案いただきました。


色味や配置までこだわったラワン合板の壁
“新築っぽくない新築”で、手を加えながら変化を楽しむ
壁のラワン合板や階段のサイザル、石のステップ、布のカーテンなど、素材使いがとても素敵だと思いました。お仕事ではたくさんの建築物に携わってきたと思いますが、いざご自身の家を建てることになった時、まずはどんなところから考えていったんですか?何かコンセプトがあったのでしょうか。
旦那様:公共施設に携わってきたことの反動なのか、極力空間を区切ることはしたくないなと思っていました。公共施設って、管理上や安全面を大事にするので、基本的に何でも隠しちゃうんですよね。使用する素材も、たとえば“切りっぱなし”とか“下地だけ”みたいな使い方はあまりしません。だから、自分たちの家に関しては「そんなのしなくたっていいじゃん」と思って作り始めましたね。
奥様:最初から“新築っぽくない新築”になったらいいなと思っていました。DIYを前提としていたり、壁に釘を躊躇なく刺せたりするような家が理想でした。

サイザルを張った階段は感触が心地良い


玄関以外に、キッチンの収納にも布カーテンを使用。圧迫感がなく、必要の時だけさりげなく目隠しができる
空間をできる限り仕切らない、という考えはどんなところからきているんですか? 家の中にはほとんど建具がないですよね。
旦那様:もともと「プライバシーをしっかり守りたい」と思うタイプではないというのもありますが、間取りや空間をどう仕切るかというのは、長く住むなかでポイントは変わっていくと思ったんですね。なので、最初は本当に最低限にしておきたかったんです。仕切るのはトイレと脱衣所くらいでいいかな?と(笑)。
奥様:建具が増えると予算がどんどん高くなるので、子ども部屋もいつか必要になった時に区切ったりすればいいと思っています。あとからいろいろ付け加えられたり、変化をつけられたりするのは楽しいし、ずっと飽きずにいられるかなと。
旦那様:でも、ほとんど建具がないこの空間が成立しているのは、断熱性や気密性が高いからこそですよね。これだけ部屋を区切っていなくても、1階でエアコン1台で空調は問題ありません。

光の取り入れ方や使い方も、とても計算されているように見えました。
旦那様:そうですね、そこは私がこだわった部分かもしれないです。出来るだけたくさん窓を取って家を明るくしたい、普通は思うかもしれないですが、この家では明るいところと暗いところ、両方を作りたいなと最初から思っていました。たとえば、いまダイニングテーブルがある場所は、本当は東側に窓を作って、別サイドにも高窓を作ったりすれば、朝は電気をつけずに明るく過ごせたかとは思います。でも、1階は、玄関と庭をしっかり切り取って、そこから入ってくる光を大事にしたいと思っていたこともあり、結局窓は作りませんでした。その代わりに、2階の窓から入ってくる光が、階段の下まで伸びてくるのがしっかり見える空間になりました。階段の上から伸びてくる光が「2階には何があるんだろう」って思わせてくれるようで気に入っています。
奥様:太陽が西側に来る時間になると、2階からバーっと光が降りてきて、けっこう明るくなるんですよね。暗いところがあるからこそ、その光が活きているように思います。

階段を上がったところに作られた窓から入る光は、階段の下まで届く。天井のライン照明も印象的。

子ども部屋の窓は、子どもが外の様子を観察できるように高さを工夫している
“ありのまま”の生活を刻んでいく場所として
お仕事では公共施設の設計をやられていて、初めての住宅設計がご自宅になったわけですが、公共施設の設計と比べて住宅の設計が大変だったところ、逆に面白かったところはどんな部分ですか?
奥様:公共施設はたくさんの人が使うことを想定して作るので、偏りやこだわりを削ぎ落としていくような作業なんですね。でも、住宅は逆にこだわりだらけ。しかも、実際の使い手(=施主)と対面しながら設計するなんて、リガードの設計士さんたちは本当にすごいなと思いました。私はまだまだできそうにないです(笑)。
この取材では、皆さんに「あなたにとって幸せとはなんですか?」という質問を最後に用意しています。家づくりを通して、大事にしていきたい幸せのかたちや価値観など、何か見つかりましたか?
旦那様:家族と安心して過ごせる場所。それが目の前にあることが幸せなんじゃないかなと改めて感じているところです。
奥様:安心して“ありのまま”でいられるのがいいですよね。だから、この家づくりで選んだ素材も“ありのまま”のモノが多くなったのかもしれないです。フローリングも無垢材を使っていますが、日々の生活の“ありのまま”をこの家に刻んでいけならいいなと思っています。







