住宅の購入にかかる不動産取得税とその減税内容とは?

不動産取得税とは?

住宅を購入する際には、住宅購入費用の他に、様々な税金がかかります。

その中でも代表的な税金が、不動産取得税です。

不動産取得税は、土地や建物など不動産を取得した際に課税される税金で、その不動産の所在する都道府県が課税する税金(地方税)です。

不動産を手に入れた際に登記をするか否か、有償か無償かなどを問わず、不動産を取得した場合に課税されます(相続の場合を除く)。

よって不動産取得税は、購入、贈与、交換、建築などの場合に課税されますが、今回は新築住宅を購入した場合について見ていきます。

不動産取得税の計算法

不動産取得税の納税額の計算方法は、下式で表されます。

不動産価格×税率=不動産取得税

ただし、不動産価格は不動産の取得日時点のものが適用されます。

不動産の取得日とは?

不動産の取得日とは、実際にその不動産の所有権を取得したと認められる日のことで、売買契約書などから判断されます。

不動産価格はどうやって決まる?

不動産取得税額の基準となる不動産価格は、実際の購入価格や建築工事費用ではありません。

総務大臣が定めた「固定資産評価基準」によって決められます。

固定資産評価基準とは、田畑・宅地・鉱泉地といった土地や、木造家屋・非木造家屋に大別される家屋の評価を行うための基準です。

おびただしい数の項目によって評価されるため、施主様が項目を覚える必要は全くありません。

そういう方法で税額が決まることを知っていれば十分です。

ここでは参考までに、住居専用家屋の基準について、ごく一部を紹介するに留めておきます。

項目
屋根  スレートか金属板か
基礎 鉄筋コンクリート基礎地上高が30cm以上か以下か
外壁 外装タイルか合成樹脂板か
柱・壁体 木製パネルか大壁造柱か
内壁 内装タイルかステンレス板か
天井 クロス天井か浴室天井か
畳かカーペットか
建具 注文品か規格品か
建具設備 電気設備かガス設備か

 
宅地の評価には、地価の基準としてもよく用いられる路線価が使われます。

路線価はもともと、こういった税金の基準となるために付設されるものです。

この基準は物価の変動などを考慮して3年ごとに改定されます。

不動産価格に対して掛かる税率は、不動産の種類によって変わり、土地、住宅は3%、住宅以外の家屋の場合は4%となります。

ちなみに、不動産取得税は取得した不動産の価格が土地の場合は10万円、家屋の場合は23万円に満たない金額の場合は課税されません。

不動産取得税はどれくらい控除できる?

まず、「そもそも控除って何?」と疑問に思われた方は、先に以下の記事を読んでおくと良いでしょう。
・注文住宅における住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の基本

上記の記事は住宅ローン控除に関する話ですが、控除の基本的な考え方を最初に紹介しています。

不動産を購入するには、購入資金だけでもかなりの金額が必要になります。

その上、税金まで重くのしかかると、住宅の購入を諦めてしまう人も多くなってしまいますよね。

そこで、個人が住宅を取得する際には、不動産取得税について減税措置が取られます。

建物に対する減税

家屋の場合の減税措置を受ける条件は以下の通りです。

  • 課税床面積が50㎡〜240㎡(つまり、16坪〜72坪ならOK)
  • 未使用の住宅であること(築年数は関係ない)

減税対象となる不動産取得税額は下式で決まるのでした。

不動産価格×税率=不動産取得税

減税の方法は、不動産価格から1,200万円を控除するというものです。

不動産価格が2,000万円の場合の控除について、下図にまとめました。

前述した固定資産評価基準から求まる不動産価格は、実際に購入した価格の60%程度であることが多いです。

家屋の購入価格が2,000万円を超えない場合、不動産取得税が丸々かからなくなることもあります。

また、認定長期優良住宅の不動産取得税では、新築住宅の1,200万円控除の代わりに1,300万円控除となります。

これは平成30年3月31日までの特例となるため、認定長期優良住宅の申請を考えていらっしゃる方は、お早めに申請を済ませ、控除額を大きくしていきましょう。

認定長期優良住宅の条件については以下の記事で紹介しています。
・長期優良住宅の認定を獲得したい!そのために必要な9つの条件とは?

土地に対する減税

土地にかかる不動産取得税についても、以下の条件のいずれかを満たせば減税処置が受けられます
・未使用の住宅(築年数は関係ない)とその土地を購入した場合
・土地を取得した日から3年以内に住宅を新築した場合
・土地を借りて住居を新築した人が新築1年以内にその土地を取得する場合
この条件のいずれかを満たすことで、以下の金額を税額から控除することができます。

(土地1㎡あたりの不動産価格×1/2)×(課税床面積×2)×3%
*課税床面積は、1戸につき200㎡以内となります。

ただし、控除額は最低45,000円が保証されています。

計算結果がこの額より小さくても、45,000円の控除を受けることができます(ちなみに新築住宅の場合、計算結果がこの額を下回るケースは殆どありません)。

不動産取得税は、建物も土地も、価格によっては全くかからないケースもあるため、条件に当てはまる場合は忘れずに各都道府県の税事務所へ申請書を提出するようにしましょう。

基本的には申請をしないと減税措置は受けられません(都道府県によっては自動的に処置を行ってくれる場合もあります)。

申請の方法は、不動産が所在する都道府県の税事務所に確認しましょう。

不動産取得税の減税措置を忘れず申請しよう!

不動産取得税の減税措置は、金額が非常に大きいということがポイントです。

このような制度は積極的に利用して、住宅購入にかかる費用を少しでも抑えていきましょう。

税金の軽減措置を利用すれば、場合によっては数十万円単位の節約が可能になります。

これだけ節約できれば、新居の家具やインテリアなどのグレードを上げることもできますね。

家づくりの総費用、他にどんなものがある?

その他の初期費用に関しては、以下の記事でまとめて紹介しています。

注文住宅の総費用を教えて! 〜これさえ見ればわかる項目集〜