住宅ローンの最新トレンド。2018年の金利動向を知るための方法

マイナス金利政策の影響、今はどうなの?

2016年にマイナス金利政策が導入されてから、すでに2年が過ぎました。マイナス金利の影響で、住宅ローンの金利も非常に低い水準で推移しています。ほぼ過去最低の基準といっていいでしょう。

ただ、住宅ローンの金利は毎月変動しています。住宅の新築をお考えの方は、現在の低金利がいつまで続くのかが気になるところではないでしょうか。

じつはいくつかのポイントさえ押さえておけば、ある程度は住宅ローンの金利動向を知ることができます。チェックしておくべきポイントと、そこから予測できる 2018年の住宅ローンのトレンドについてお話ししましょう。

住宅ローン金利の最新事情を知るための方法

住宅ローンの金利は、金融機関によって異なります。そのため、どの住宅ローンがお得なのかを調べるには、各金融機関の情報を詳しく見ていかなければなりません。これはかなり手間のかかる作業です。

しかし、住宅ローンの大まかな推移だけなら、それほど詳しい情報がなくても予測できるのです。そのポイントを説明する前に、今一度、住宅ローンの金利システムを押さえておきましょう。

住宅ローン金利には、大きく分けて「固定金利型」と「変動金利型」があります。

固定金利型は、ローン契約が結ばれた時から返済が終わるまで、金利がまったく変動しないタイプです。金利が低いときに契約を結べば、金利上昇のリスクがなく低い金利のまま借りていられます。また、ローン契約の時点で総返済額が分かるので、将来的なライフプランが立てやすいという特徴があります。

変動金利型は、半年ごとに金利の見直しが行われます。さらに、金利の変更に伴って、5年ごとに月々の返済額も変更されます。ですから、金利の低いときにローン契約を結んでも、金利が上昇すれば総返済額も増えてしまいます。ただし借入れ時の金利は、固定金利型よりも低く設定されています。

じつは固定金利型も変動金利型も、それぞれ基準となっている金利があります。固定金利型の金利は「10年もの国債の利回り」、変動金利型は「短期プライムレート」を基準に設定されています。つまり、10年もの国債の利回りと短期プライムレートの動向を見れば、住宅ローンの動向がつかめるのです。

住宅ローンにはこのほかに、「固定期間選択型」と呼ばれるタイプもあります。当初の数年間は固定金利で、その期間が過ぎた後は、また数年間の固定金利にするか、変動金利にするかが選べるというものです。固定金利の期間は、3年、5年、10年があり、固定金利の期間が長くなるほど金利は高くなります。固定型と変動型の特徴をミックスしたようなもので、金利も2タイプの中間くらいに設定されています。

10年もの国債の利回りと短期プライムレート

固定金利型の基準となる「10年もの国債」は、市場で取引されている金融商品です。そのため利回りの推移も、証券会社のサイトなどで確認できます。

・日本相互証券 長期金利推移グラフ

・楽天証券 日本国債10年 年利回り

過去10年分の推移を見ると、利回りが次第に下がっていることが分かります。同時に、固定金利型住宅ローンの金利も低くなっているのです。

10年もの国債の利回りは一般的に、景気が良くなると上昇し、悪化すると下がるといわれています。固定金利型住宅ローンの今後の動向を予測するなら、公的機関の発表する経済指標を参考にしましょう。

変動金利型の基準となる「短期プライムレート」とは、銀行が1年以内の短期で企業に融資する際の金利水準です。短期プライムレートの推移は、日本銀行のサイトで見ることができます。

・日本銀行 長・短期プライムレート(主要行)の推移

グラフではないので分かりにくいかもしれませんが、2009年から現在までまったく動いていないのが確認できます。

短期プライムレートは、日本銀行が政府の方針に従って行っている金融調整によって変化します。変動金利型住宅ローンの今後の動向を予測するなら、日銀の金融調整に注目しておきましょう。

フラット35 金利の推移は?

フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が共同で提供している固定金利型住宅ローンです。返済期間が最大35年と長期で、保証料や繰上返済手数料が不要、民間の住宅ローンとの併用ができるといった利点から、人気となっています。

では、そのフラット35の金利はどう推移しているのでしょうか。公式サイトで確認できるので、見てみましょう。

・【フラット35】借入金利の推移:長期固定金利住宅ローン 【フラット35】

少々変わった形のグラフに、驚かれた方もいらっしゃるでしょう。

フラット35の資金を提供しているのは住宅金融支援機構ですが、借主が直接ローン契約を結ぶことはできません。銀行などの民間の金融機関を仲介して、融資を受けることになります。住宅金融支援機構の商品を、金融機関が代理販売していると考えると、分かりやすいかもしれません。

フラット35の取り扱いをしている金融機関は300社以上あります。金利や手数料については、住宅金融支援機構が定めた範囲内で、各金融機関が自由に設定できるようになっています。その金利の範囲を示したのが、このグラフです。

グラフの縦線の一番上はその時期の最高金利、一番下は最低金利を表しています。ですからグラフの縦線の上部を線で繋いでいくと、おおよその推移が分かる折れ線グラフになります。

推移を見てみると過去10年間は下落傾向で、マイナス金利政策の導入があった2016年3月からは最低基準にまで落ち込んでいたことが分かります。しかし、2017年末から2018年初頭にかけては、上昇傾向が見られるようになりました。

今後の市場経済状況によっては、さらに上昇することも考えられます。もしフラット35の利用をお考えの場合は、なるべく早めに具体的な資金計画を立てた方がいいかもしれません。

フラット35は、申し込みから審査を経て融資を受けるまでに数ヶ月かかります。また、金利は申込日ではなく、実際に融資を受ける月の金利が適用されるシステムとなっています。

フラット35を利用する場合は、早めに申し込んで審査までを済ませておき、金利の推移を見ながら融資実行日を調整するのもひとつの手です。

各金融機関の住宅ローントレンド

銀行や信用金庫など、さまざまな金融機関が独自に提供している住宅ローンについても、金利の推移を見てみましょう。

2018年2月には、ほぼ全ての金融機関で住宅ローンの金利引き上げが見られました。引き上げの中心は長期固定金利の住宅ローンですが、なかには3年固定、5年固定といった固定期間選択型の金利まで引き上げたところもありました。

その理由は、10年もの国債の利回り上昇だと思われます。2018年1月、10年もの国債の利回りが0.04%から0.08%まで上昇しました。その背景には日本だけでなく、アメリカ国債利回りの急上昇もあると見られています。

アメリカ国債の利回りは今後さらに上昇する可能性があり、日本の住宅ローン金利への影響もありそうです。長期固定金利型の住宅ローンをお考えの場合、早めに動いたほうが賢明かもしれません。

例えば三菱東京UFJ銀行では、35年の長期固定金利型住宅ローンの金利を1.43%から0.06%引き上げて、1.49%としました。みずほ銀行でも、0.02%引き上げの1.28%となっています。

固定期間選択型の10年固定でも、多くの金融機関で0.02~0.05%の引き上げが見られます。2018年2月時点での金利は、三菱東京UFJ銀行が0.80%、じぶん銀行が0.64%、りそな銀行が0.598%などとなっています。

変動金利の金利は、今のところ変化はありません。しかし、アメリカやヨーロッパではすでに金融緩和政策の終了に向けて動き出しています。日本でもマイナス金利からゼロ金利への変更が行われていて、いずれは今の低金利状態が終了することは確実です。

今年度中に目立った変化があるとは考えにくいですが、住宅ローンをお考えなら余裕をもって動き出しておいたほうがいいでしょう。

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