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長期優良住宅に関わる補助金・減税制度の早見表(2017年度版)
家族が健康に住まう家のため、長期優良住宅の補助金・控除制度を活用
家を建てるという経験は、生涯にそう何度もできることではありません。そのためほとんどの人は、「せっかく家を建てるのだから、理想的な家にしたい」と思うことでしょう。
では理想的な家とは、どんな住宅なのでしょうか。まず思いつくのは「長く住めること」「家族が安心して健康的に住めること」でしょう。さらに「地域や地球環境に優しい家であること」を重視する方も少なくありません。
そういった条件を満たしているかの基準のひとつとして「長期優良住宅」があります。
これは「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」によって定められたもので、平成21年6月4日より施行されました。気密・断熱性(省エネルギー性)、耐震性、劣化対策、バリアフリー対策といったさまざまな項目について、一定の水準をクリアしている住宅を、長期優良住宅として認定しています。
長期優良住宅の認定基準は、飛び抜けてハイクオリティというわけではありません。家族が長く安心して住むためには、叶えておきたいレベルに設定されています。ですから、住みやすい家の目安として活用してみてはいかがでしょうか。
また、長期優良住宅の認定を受けることで、税制での優遇措置や補助金が活用できるようになります。そういった制度も最大限に活用して、余裕を持った資金計画を考えてみませんか。
長期優良住宅認定で優遇が受けられる制度の一覧
長期優良住宅に対する優遇制度としては、以下のようなものがあります。
- 長期優良住宅認定による住宅ローン減税の優遇(2017年度)
- 長期優良住宅認定による不動産取得税の優遇(2017年度)
- 長期優良住宅認定による登録免許税の優遇(2017年度)
- 長期優良住宅認定による固定資産税減税期間の優遇(2017年度)
- 長期優良住宅認定を条件とするその他の補助金制度
こうして見ると非常に優遇されているように思えますが、制度によって受けられる恩恵の金額にはかなりの幅があります。また制度を利用するにあたっては、それぞれ細かい条件が定められています。
家づくりをより具体的に考えるためには、どんな制度なのか、どのくらいの優遇が受けられるのかを、あらかじめ知っておく必要があります。ここで長期優良住宅の優遇制度について、ひとつひとつ見ていきましょう。
長期優良住宅認定による住宅ローン減税の優遇(2017年度)
「住宅ローン減税」は、住宅を取得するための資金として、10年以上のローンを組んだ場合に利用できる制度です。「住宅ローン減税」というのは通称で、正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。ほかに「住宅ローン控除」と呼ばれることもあります。
その内容は、年末の時点でのローン残高の1%にあたる金額を、所得税から控除するというもの。控除期間は10年間となっています。
住宅ローン減税については過去記事でも紹介しているので、ご参照ください。
・注文住宅における住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の基本
住宅ローン減税には、1年につき40万円までという最大控除額が定められています。これは一般住宅の場合で、長期優良住宅の認定を受けると、最大控除額が50万円に引き上げられます。
こういうと長期優良住宅のほうがお得なように感じますが、じつはそうでもありません。なぜなら、一般住宅でも十分な控除枠が設定されているからです。
一般住宅の限度額である40万円の控除を受けるためには、ローン残高が4000万円以上残っている必要があります。
つまり、住宅ローン控除で長期優良住宅のメリットを感じられるのは、4000万円以上のローンを組んだ場合のみなのです。
さらに住宅ローン減税を利用するにあたっては、長期優良住宅の認定を受けていること以外に、以下の条件を満たしている必要があります。
- 住宅ローン減税を受ける人が住んでいる建物であること
- 住宅の引渡しや工事完了から6ヶ月以内に住み始めること
- 床面積は50平方メートル以上
- 店舗などを兼ねている場合は、床面積の1/2以上が住居になっている
- 所得金額が3000万円以下
長期優良住宅の所得税減税(2017年度)
一般住宅の場合は、所得税の減税を受けるためには10年以上のローンを組んでいる必要があります。しかし長期優良住宅の認定を受けていると、住宅ローンを利用しなくても所得税の控除が受けられる制度があるのです。
ただしこの制度は、住宅ローン控除のように10年間にわたって控除されるのではなく、一度限りとなっています。
長期優良住宅は、一般住宅より性能を高めるための費用がかかっていると見なして、性能強化費用の10%が所得税から控除されます。標準的な性能強化費用として定められている金額は、1平方メートルにつき43800円。そこに住宅の床面積をかけて計算します。
性能強化費用43800円 × 床面積 × 10% = 控除金額
床面積が120平方メートルなら、
43800円 × 120 × 10% = 525600円
52万5600円が、その年の所得税から控除されます。
所得税の減税を利用するには、長期優良住宅の認定を受けていること以外に、以下の条件を満たしている必要があります。
- 所得税の減税を受ける人が住んでいる建物であること
- 住宅の引渡しや工事完了から6ヶ月以内に住み始めること
- 床面積は50平方メートル以上
- 店舗などを兼ねている場合は、床面積の1/2以上が住居になっている
- 所得金額が3000万円以下
気をつけなければいけないのは、住宅ローン減税と併用はできないということ。10年以上の住宅ローンを組んだ場合には、住宅ローン減税を利用したほうが控除金額が大きくなります。
長期優良住宅認定による不動産取得税の優遇(2017年度)
新たに住宅を購入する時には、購入にかかる費用以外にさまざまな税金がかかります。そのひとつが「不動産取得税」です。
不動産取得税は、相続以外で住宅を取得した場合に納めなければならない税金です。詳しくは過去記事で解説していますので、そちらをご参照ください。
不動産取得税は、不動産の価格に税率をかけることで計算できます。税率は基本的には4%ですが、新築住宅の場合は3%と優遇されています。また新築住宅では、不動産価格から1200万円の控除が認められています。
長期優良住宅の場合、税率は一般の新築住宅と同じ3%ですが、控除金額が1300万円とさらに優遇されているのです。
たとえば3000万円で住宅を新築した場合、一般住宅と長期優良住宅の不動産取得税の差額を見てみましょう
一般住宅:(3000万円 – 1200万円) × 3% = 54万円
長期優良住宅:(3000万円 – 1300万円) × 3% = 51万円
このように、長期優良住宅のほうが不動産取得税が安くなります。
不動産取得税の優遇を利用するには、長期優良住宅の認定を受けていること以外に、
- 床面積は50平方メートル以上、240平方メートル以下
という条件があります。また、都道府県の条例で定められている申告が必要です。
不動産取得税を支払うのは住宅を新たに取得したときの1回のみで、固定資産税のように毎年払わなければいけないものではありません。
不動産取得税は一般住宅でもすでに優遇されているので、長期優良住宅の認定を受けても得られる恩恵は3万円のみとそれほど大きな金額ではありません。
長期優良住宅認定による登録免許税の優遇(2017年度)
土地や建物などの不動産を新たに取得したときには、土地や建物の住所や面積、所有者の氏名といった情報を、登記所に保管されている不動産登記簿に登録するよう定められています。「登録免許税」とは、その登録の手続きにかかる税金です。
登録免許税については過去記事で詳しく紹介していますので、そちらをご参照ください。
・一戸建ての登記にかかる登録免許税 注文住宅の総費用計算時に注意!
不動産登記簿への登録には2種類あり、住宅を新築した場合には「所有権保存登記」、中古住宅を取得した場合には「所有権移転登記」といいます。
登録免許税の税額は、国土交通省が調査した「公示価格」を元に市町村などの各自治体が決めた「固定資産評価額」がベースとなっています。その固定資産評価額に税率をかけることで税額が計算できるのですが、所有権保存登記と所有権移転登記では税率が違います。
所有権保存登記:固定資産税評価額 × 税率0.4% = 登録免許税
所有権移転登記:固定資産税評価額 × 税率2% = 登録免許税
この税率はあくまで原則で、住宅の場合の税率は所有権保存登記が0.15%、所有権移転登記が0.3%と優遇されています。長期優良住宅の認定を受けると、さらに税率が低くなるのです。
種別 | 原則 | 一般住宅 | 長期優良住宅 |
---|---|---|---|
所有権保存登記 | 0.4% | 0.15% | 0.1% |
所有権移転登記 | 2% | 0.3% | 一戸建て0.2% マンション0.1% |
実際に登録免許税がどのくらい安くなるのか、固定資産評価額が3000万円の住宅を新築したとして計算してみましょう。
原則 :3000万円 × 0.4% = 12万円
一般住宅 :3000万円 × 0.15% = 4万5000円
長期優良住宅:3000万円 × 0.1% = 3万円
このように、長期優良住宅のほうが登録免許税は安くなります。
ただし、登録免許税を支払うのは不動産を登記するとき1回のみです。また、登録免許税自体がそれほど高額ではないので、優遇される金額も数万円程度です。
登録免許税の優遇を利用するには、長期優良住宅の認定を受けていること以外に、以下の条件を満たしている必要があります。
- 所得税の減税を受ける人が住んでいる建物であること
- 住宅の引渡しや工事完了から1年以内に住み始めること
- 床面積は50平方メートル以上
長期優良住宅認定による固定資産税減税期間の優遇(2017年度)
「固定資産税」は、土地や建物といった不動産の所有者が、毎年払わなければいけない税金です。住宅の所有者として不動産登記簿に登録されると、納税通知書が送られてくるようになります。
固定資産税の税額は基本的に、固定資産評価額を元にした課税標準額に税率1.4%をかけることで計算できます。しかしこの税率はあくまで基準で、じつは各市町村が独自に税率を決められるため、お住まいの地域によっては税率が違うこともあります。
また課税標準額は、建物の場合は固定資産評価額とイコールですが、土地については固定資産評価額と課税標準額は一致しません。というのも、土地についてはさまざまな特例や減免措置があるからです。
固定資産税については過去記事で詳しく紹介していますので、そちらをご覧ください。
・土地・建物にかかる固定資産税 注文住宅を新築する場合いつから納税?
住宅を新築した場合、3年間は固定資産税を半額にするという軽減措置が設けられています。例えば固定資産評価額が1000万円の住宅の場合、通常なら固定資産税は年間14万円になります。
1000万円 × 1.4% = 14万円
これが新築から3年間は半額の7万円となるのです。
気をつけておきたいのは、半額となるのは建物にかかる固定資産税のみだということ。土地についての固定資産税は、半額にはなりません。また、半額になるのは住戸1戸につき120平方メートルまでと定められています。120平方メートルを超えた部分の床面積については、半額にはなりません。
長期優良住宅の認定を受けた場合、一般住宅は3年間となっている軽減措置の期間が、5年間に延長されます。
実際にどのくらいの税額が軽減されるのか、住宅の床面積が120平方メートル以下で固定資産評価額が1800万円として計算してみましょう。
一般住宅:1800万 × 1.4% × 1/2 × 3年間 = 37万8000円
長期優良住宅:1800万 × 1.4% × 1/2 × 5年間 = 63万円
このように長期優良住宅の認定を受けていると、5年間で25万2000円という軽減措置のメリットがあります。
固定資産税の軽減措置を利用するには、長期優良住宅の認定を受けていること以外に、
- 床面積が50平方メートル以上、240平方メートル以下
という条件があります。また、長期優良住宅の認定通知書のコピーを添えて、市区町村に申告する必要があります。
長期優良住宅認定を条件とするその他の補助金制度
これまで挙げてきた以外にも、長期優良住宅の認定を受けることで利用できる補助金などがあります。そのひとつが「地域型住宅グリーン事業」です。
地域型住宅グリーン化事業は、省エネ性能や耐久性に優れた木造住宅の建築を支援する制度で、2015年からスタートしました。各地域の製材業者・設計事務所・中小工務店といった家づくりに関わる事業者がグループを作り、一定の基準を満たした住宅に補助金を出しています。
地域型住宅グリーン事業は、その名の通り地域に根ざした制度なので、グループによって基準の内容が違っています。そして補助金を受けるためには、グループに登録している業者で家を建てる必要があります。
制度の利用を考えている場合にはまず、お住まいの地域にグループに登録している工務店があるかどうかを確認してみてください。
そのほかにも、住宅金融支援機構と金融機関が共同で運営している住宅ローン「フラット35」では、長期優良住宅のローンに対して金利を優遇するという制度があります。
また市区町村によっては、長期優良住宅に対する独自の支援を行っている場合もあります。
長期優良住宅以外の条件をもつ補助金制度利用も視野に
ここまで見てきたように、長期優良住宅に対する控除や優遇にはそれぞれ条件が設けられています。資金計画を具体的に考えるに当たっては、どの制度が利用できて、どれだけお得なのか、ひとつひとつ検討していかなければならないというのがお分かりになったのではないでしょうか。
今回は長期優良住宅という条件に絞って紹介してきましたが、長期優良住宅でなくとも高額の補助金が受け取れることもあります。そのひとつが「ZEH普及加速事業費補助金」です。
ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)としての認定を受ければ、2017年度は75万円の補助金が給付されます。もちろんZEHの認定を受けるにはさまざまな条件がありますが、長期優良住宅との両立もしやすいのではないでしょうか。
ZEH普及加速事業費補助金については、過去記事で詳しく紹介していますので、ご参照ください。
余裕を持った資金計画のためには、こういった長期優良上宅以外に対する補助金や優遇制度の利用も視野に入れておく必要があります。しかし、さまざまな優遇措置や補助金制度をすべて調べ上げて検討するのは、簡単にできることではありません。
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