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「お母さんも、こっちおいでよ」と言っていた、私たちへ

母の日が近づくと、ふと思い出すのは、実家のキッチンに立っていた母の背中です。

リビングで弾む家族の声と、テレビの音。
そこから少し奥まったキッチンに、母はひとりで立っていました。

「お母さんも、こっちおいでよ」
そう声をかけると、振り返って笑ってくれた。
でも今思えば、あのとき母は、ほんの少しだけ“仲間はずれ”だったのかもしれません。

家を建てるとき、私たちのもとに来てくださるお客さまの中にも、
「キッチンに立つ、自分の後ろ姿」から逆算して家づくりを考える方が、たくさんいらっしゃいます。

今日は、そんな3つのキッチンの物語をご紹介します。


Story 1|「料理をしながらも、家族の輪のなかに」

ある奥さまは、実家のキッチンが奥まった場所にあったことが、ずっと気になっていました。

「リビングで家族が話しているのに、私だけ離れて料理をしている。
なんだか、仲間はずれになった気分でした」

その悩みを起点に選ばれたのが、II型キッチン × ダイニングリビング横並びのレイアウト

料理をしながらも、自然に会話の中心にいられる。
カウンターが広いので、家族や友人が「お皿並べるね」と来てくれたり、
横からサッと食器を出してくれたり。

料理は、ひとりの作業から、家族の時間に変わった。
ご本人がそう話してくださったのが、印象的でした。


Story 2|「“見てみて!”に、すぐ応えられる」

別のご家族からは、こんな声をいただきました。

「前の家のキッチンは壁付けで、料理中はずっと壁を見ていました。
子どもが小さい頃は、何度も振り返らないと顔が見えなくて、
“見てみて!”の声に、すぐ応えてあげられないのが、地味につらかったんです」

新しい家で選ばれたのは、対面キッチン
目の前にダイニングがあり、リビングがあり、子どもの遊びスペースがある。

「料理しながら、“見てみて!”にその場で応えられる
振り返らなくても、目の前で、家族の“今”が見えます」

設備の話ではありません。
応えられる距離の話なのだと思います。


Story 3|「憧れのアイランドと、家族の景色」

「アイランドキッチンには、ずっと憧れていました。
でも、家族の後頭部しか見えない暮らしは、嫌だった」

そう話してくださったお客さまもいらっしゃいました。
デザイン優先で配置を決めると、家族と背中合わせになってしまうこともある。

そのご家族の家は、こんなプランになりました。

キッチンに立つだけで、家族の顔と、お庭の景色が、同時に視界に入る
憧れだったアイランドが、暮らしのリアルにきちんと馴染んだ瞬間でした。


設備じゃなく、“暮らし方” から始める家づくり

3つのキッチンに共通していたのは、
「設備のスペック」ではなく、「暮らし方」から逆算したということ。

  • 料理しながら、家族の輪のなかにいたい
  • 子どもの”見てみて!” に、すぐ応えたい
  • キッチンに立ちながら、家族の顔と景色を見ていたい

住宅雑誌のキーワードとしては、地味な希望かもしれません。
でも、その人の毎日のご機嫌を支えているのは、こういう”小さな解像度 ” なのです。


“なぜ” は、自分ひとりでは見つけにくい

「対面キッチンがいい」と思っていても、“なぜ” 対面なのかまでは、案外言葉になっていません。
“なぜ”が言葉になっていないと、いざプランが具体化したときに、
「あれ、これで本当によかったんだっけ?」と、後から迷いが出やすくなります。

私たちが開いている『暮らし方ワークショップ』は、まさにこの“なぜ” に降りていく時間です。
初対面の方との対話と、コーディネーター講師のひと言が、
ふわっとした憧れを、設計を導く指針へと翻訳してくれます。


最後に

母の日が近づくこの季節に、
ふと、実家のキッチンを思い出してみてください。

そこに立っていたお母さんの背中は、
ちょっとだけ、寂しそうではありませんでしたか?

これからつくる家のキッチンは、誰の、どんな表情が見える場所にしたいですか?
その答えを探す数時間を、ぜひ私たちと一緒に過ごしてみませんか。

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