低炭素住宅の減税について。省エネ住宅の減税制度を知る

エコ住宅を建てるための補助金・減税制度を知ろう

どんな人であっても、周囲とまったく関わりを持たずに生きていくことはできません。家を建てるというのは、その地域の社会に参加することでもあります。その社会のなかでどんな役割を果たすのか、どんな未来を造っていくかの一端を担うことになるのです。

視点を変えれば、家を建てるというのは自己実現の手段のひとつでもあります。社会を構成する者として、ひいては地球の住人のひとりとして、どんな責任を果たしていくのかを家を通して表現できるのです。

とはいえ、いきなり社会的な役割と言われても、とまどってしまう方も多いことでしょう。そのテーマとしてお薦めしたいのが「エコロジー」です。

エコ住宅は、地球環境に優しいだけではありません。減税などの優遇制度を利用できる場合もあり、住む人にとっても優しくメリットの多い家なのです。

今回はエコ住宅への減税制度のひとつ、「低炭素住宅の優遇措置」をご紹介します。

低炭素住宅とは?

「低炭素住宅」という言葉だけを聞くと、炭素を使っていない建材で造られた家だと思う人もいるかもしれません。でもそれは、残念ながら誤りです。低炭素住宅とは、正しくは「炭素の排出量が少ない家」なのです。

快適な生活をしていく上で、石油・石炭・天然ガスといった燃料は欠かせません。しかし、これらの化石燃料にはすべて炭素が含まれているので、燃やすと二酸化炭素が発生します。二酸化炭素は、地球温暖化の原因として世界的に問題となっています。

低炭素住宅とは、言い換えると「快適に暮らしていても化石燃料をあまり使わなくて済む家」のこと。つまり、気密断熱性に優れていてエネルギー効率が高い、省エネ住宅を指すものなのです。

低炭素住宅の認定制度は?

低炭素住宅の優遇制度を利用するには、低酸素住宅であるという認定を受けなければなりません。その基準として、住宅の「一次エネルギー消費量」があります。

一次エネルギーとは、石油・石炭・天然ガスといった化石燃料や、水力・太陽光など自然から得られるエネルギーのこと。石油を燃やして作られる電気、天然ガスを加工して作られる都市ガスやプロパンガスなどは、二次エネルギーと言います。

一般的な生活では、一次エネルギーよりも二次エネルギーを使うことのほうが多いでしょう。しかし、ガスや電気などエネルギーの種類によって、数えかたの単位は異なります。さまざまなエネルギーの単位が混在していたのでは、一体どのくらいのエネルギーを消費しているかがよく分からなくなってしまいます。

そこで、使っているエネルギーをすべて一次エネルギーに置き換えて換算したのが、一次エネルギー消費量です。経済産業省・国土交通省では、エネルギーの使用の合理化等に関する法律(通称「省エネ法」)に基づいて「平成25年度省エネ基準」を設定しています。

低炭素住宅に認定されるには、この「平成25年度省エネ基準」よりも、一次エネルギーの消費量が10%以上少ない必要があります。基準を満たしている場合には、低炭素建築物であることを証明する新築計画書を作成して、都道府県市区の所管所に申請します。

低炭素住宅を認定されるとどれくらいお得なの?

気密断熱性に優れた低炭素住宅は、冷暖房にかかる一次エネルギー消費量が少なくて済みます。つまり、光熱費が節約できるということ。これは長期的な目で見れば、かなりの節約になります。

また、低炭素住宅の認定を受けることで利用できる、公的な優遇措置も用意されています。エコロジーで地球に優しいというだけでなく、金銭的なメリットもあるのです。

低炭素住宅に補助金はもらえる?

気をつけておかなければいけないのは、「低炭素住宅を対象とした補助金制度はない」ということ。低炭素住宅を建てたからといって、何らかの金銭が直接もらえるわけではありません。家を建てた後にかかる登録免許税や、住宅ローン控除での優遇という形で、金銭的なメリットが受けられます。

家を建てた際には、完成から1ヵ月以内に法務局の帳簿に登録してもらう「登記」の申請をしなければいけません。その手数料として「登録免許税」という国税がかかります。登録免許税の金額は、以下の式で求められます。

固定資産税評価額 × 税率 = 登録免許税

一般の住宅では、この税率が0.15%です。しかし、低炭素住宅では、税率が0.1%となっています。例えば固定資産税評価額が3000万円の場合、低炭素住宅だと登録免許税が15000円お得になるということです。

一般住宅の場合:3000万円 × 0,15% = 45000円
低炭素住宅の場合:3000万円 × 0,1% = 30000円

低炭素住宅の減税措置(住宅ローン控除の優遇)

さらに大きいのが、住宅ローン控除での優遇措置です。「そもそも住宅ローン控除って何?」という点に疑問がある方は、下記の記事をご覧ください。

・注文住宅における住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の基本

住宅ローン控除では、年末に残っている住宅ローン残高の1%にあたる金額が、10年間にわたって所得税から差し引かれます。これは平成26年1月から平成33年12月までに新築住宅に住み始めた場合に適用されます。

住宅ローン控除では、1年間につき最大40万円までという限度額が定められています。しかし低炭素住宅に認定されれば、この限度額が最大50万円に引き上げられるのです。

項目 一般住宅 低炭素住宅
最大控除額 400万円 500万円
控除率 1% 1%
控除期間 10年 10年
適用期間 平成26年4月1日~平成33年12月31日 平成26年4月1日~平成33年12月31日

ただし気をつけなければいけないのは、この優遇措置の恩恵を受けるには、「少なくとも、住宅ローンの残高が4000万円以上あるお施主様」に限られるということ。少し考えてみれば分かりますが、ローン残高が4000万円未満では一般住宅の控除限度である40万円に届かないからです。

年末ローン残高4000万円 × 1% = 住宅ローン控除額40万円

住宅ローンの借入額が4000万円を超えるということは、住宅としてはかなりハイグレードだと言っていいでしょう。そもそも低炭素住宅が「高性能」な住宅なので、建築費も高くなってしまうのは仕方のないことなのです。

低炭素住宅は、「多少のお金をかけてでも、子供たちに財産として残せるような高性能住宅を建てたい」「家を通して社会的な責任を果たし、子供たちが安心して暮らせる未来を作っていきたい」と考える方にぴったりの家です。

税制上の優遇措置も、そういった考えを持つ方を対象に整備されていることが、数字をつぶさに見ていくとよく分かるのではないでしょうか。

「誰にでも使える補助金・減税制度」を知りたい方は

一方で、さまざまな事情から「それだけの資金は用意できない」という方もいらっしゃることでしょう。「新築住宅を建てる時、多くの人が使える優遇措置」についても知りたいところですよね。そんな制度を紹介した過去記事がありますので、そちらも合わせてご覧ください。

・注文住宅における住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の基本

・すまい給付金ってこんな制度 少しでもコストダウンしたい貴方に朗報!

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