リガードの基礎工事 vol.8
~制震テープ~

リガード 基礎工事 制震テープ

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リガードの基礎工事           vol.1 ~前編~
リガードの基礎工事           vol.2 後編①~配筋~
リガードの基礎工事           vol.3 ~鉄筋~
リガードの基礎工事 後編② vol.4 ~配筋後~
リガードの基礎工事           vol.5~土台敷き~
リガードの基礎工事           vol.6~上棟~
リガードの基礎工事           vol.7~土台パッキン(床下について)~

★制震テープについて

地震から住宅を守る新しいアプローチ
日本は世界で起きる地震の10~15%が集中し、M6.0以上の大地震の20%が発生する「地震大国」です。
年間に揺れを感じる地震は1100回以上もあり、地震対策は家づくりにおいて最も重要な要素の一つです。リガードでは、地震に強い住宅を提供するため、耐震等級3を取得するための許容応力度計算を全棟で実施し、構造の安全性を確保しています。この記事では、リガードが構造の安全性を高めるために採用している「制震テープ」の詳細と、その効果について解説します。

許容応力度計算 構造計算 耐震等級3
この記事では、リガードが構造の安全性を高めるために取り組んでいる内の1つ【制震テープ】について解説します。

制震テープってどんなもの?

制震テープは、アイディールブレーン社が高層ビルの制震技術を木造住宅に応用するために開発した商品です。東京大学と清水建設との共同開発により生まれたこのテープは、地震の揺れによる建物のダメージを軽減し、外周部の柱や梁と外壁面材を一体化させる効果があります。高層ビル用に開発された粘弾性体を両面テープ状に加工しており、その高い制震性能を木造住宅でも発揮します。

制震テープのメカニズム
制震テープは、建物の耐力面材と柱・梁などの軸材との間に挟むことで、地震時に生じる揺れのエネルギーを吸収し、振動エネルギーを熱エネルギーに変換します。これにより、揺れが建物全体に伝わるのを抑え、繰り返しの地震にも効果を発揮します。制震テープを使用することで、建物の揺れ(層間変位)を最大80%低減できることが確認されており、実際に地震が発生した際にもその効果が検証されています。また、110年以上の耐久性が実証されており、長期間にわたり制震性能が持続することが大きな特徴です。

特徴

地震の揺れによる建物のダメージを軽減するためのもので、外周部の柱や梁と外壁面材を一体化させる効果があります。

高層ビル用に開発された粘弾性体を両面テープ状に加工しています。

制震テープ メカニズム

*実際の制震テープの写真
制震テープ 写真※白いテープが制震テープです。制震テープ 耐力面材制震テープ

メリット

繰り返しの地震 に強い
②最大80%の揺れを低減
  →実際に地震が起こった際、この効果が確認されています。
制震テープを使用すれば、住宅の揺れ(層間変位)を最大80%低減できることを確認しています。(下図参照)

層間変位 制震テープ
※上図 アイディールブレーン社 発表資料より引用

これら2つのメリットは、制震テープを家全体にバランス良く配置し、住宅まるごとダンパーにしているからこその結果です。

110年後も十分な制震性能

  →劣化の三要素 (紫外線劣化、酸化劣化、熱劣化) のうち、制震テープにとって問題となる熱劣化について、アレニウス法に基づく 促進実験により、110年以上の間、粘着強度の変化率が0~-10%間を安定推移することが実証されています。

④地震対策以外にも、「交通振動の揺れを低減」「居室間の遮音性向上」「気密性の向上」 が挙げられます。

制震ダンパーとの違い

・制震テープを採用している背景

制震ダンパーを入れる場合、取り付けのため、壁・柱などが必要になってきます。この取り付け位置も、計算をして入れる場所が決まります。
他にも、ダンパーは筋交のように使うため、配線や配管を気にしなくてはいけなかったり、構造用金物と被ったりしてしまうため、そこの配慮も必要となります。

粘弾性がとても高い制震テープを全体的に張っていくため、とても難しく、手間がかかる施工ですが、リガードで長く仕事をしている大工さんが、丁寧に施工しているからこそ、全棟に対応できています。

・お家が壊れてしまう仕組み 

木造住宅は、地震の力に抵抗する耐力面材が壊れる際に倒れてしまいます。
この耐力面材が壊れる流れを解説します。

まず、面材に目立った損傷は見られず、面材を止めつけている釘が緩んだり、曲がってしまうことにより、最終的に釘が抜け、耐力壁としての役割がなくなり、壊れていきます。

大地震によって建物が振動すると、軸材(柱・梁・胴縁など)は長方形から平行四辺形に変形しますが、
面材(構造用合板・石膏ボードなど)は変形しないため「ズレ」が生じます。 
このズレにより、軸材と面材を固定している釘が曲がったり、緩んだりしていき、住宅全体が緩みます。そして、地震の度にズレが大きくなることにより、耐力面材としての役割がなくなり、壊れていきます。

そのため、リガードでは、厚さ1mm制震テープ(粘弾性体テープ)をこのズレる部位に挟み込みます。
そして粘弾性体が揉まれることで、振動エネルギーは熱エネルギーに変換され、建物の揺れが軽減されます。

また、面材に釘を打つとき、柱と面材の間に制震テープを挟んで打つため、地震が来ても釘が動きにくく、また、面材が変形しにくいです。
通常の制震ダンパーを使用する場合、変形自体を小さくできたとしても、面材の脱落を防ぐ効果はありません。対して制震テープは、複数回の地震に対する性能が非常に高いことがわかります。
制震テープ メカニズム 
・金額について
家全体の構造を考え、制震ダンパーのみを使う場合、一箇所だけ取り付けるわけではありません。数十万円のダンパーがいくつも必要になってくるため、大体、制震テープの5倍6倍かかります。

まとめ

耐震と制震の違い:損傷防止と倒壊防止の観点から

耐震=倒壊防止
耐震は、地震の力に対抗して建物の倒壊を防ぐための技術です。筋交いや耐力壁、構造用金物などを用いて建物の強度を高め、地震の揺れに耐える構造を作ります。しかし、耐震だけでは揺れ自体を制御することはできず、揺れによって建物内部の損傷や居住者の不安感が残ることがあります。

制震=損傷防止
制震は、地震の揺れそのものを吸収し、建物に伝わる振動を低減する技術です。揺れが建物に与える影響を抑え、耐力壁や内部構造の損傷を防ぐことで、住宅の長寿命化と居住者の安全を確保します。制震テープは、建物全体をダンパー化することで、揺れによる損傷を効果的に防ぎます。

制震テープを活用したリガードの地震対策
リガードでは、耐震と制震の両方を組み合わせた高い安全性を追求しています。耐震構造によって地震に耐える強度を高め、制震テープで地震のエネルギーを吸収し、揺れそのものを制御します。この組み合わせにより、地震時の建物へのダメージを最小限に抑え、揺れ幅を軽減することで、快適で安心な住環境を提供しています。

また、住宅の振動解析(地震シミュレーション)を行った結果、1階だけの制震では2階以上の部分がかえって大きな揺れを受けることが確認されています。そのため、リガードでは全階にわたって制震テープを施工し、建物全体を保護する対策を講じています。これにより、住宅全体の揺れを均等に軽減し、どの階に住んでいても安心して過ごせる環境を実現しています。

下図は振動解析の結果をグラフで比較しています。制震テープ 影響時刻歴解析

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リガードの基礎工事 vol.9~屋根工事~