棚の高さは、あとから変えられます

クローゼットや納戸、洗面まわりの収納に入っている棚。あの棚の多くは、高さを動かせる前提でつくられています。それが「可動棚」です。

できあがった家の棚は、なんとなく「そういうもの」として受け止めてしまいがちです。でも可動棚は、引渡しの時点の高さが完成形ではありません。住むなかで動かしていただくために、その仕組みがついています。

入れるものが変わったら、棚をそれに合わせる。収納に暮らしを合わせるのではなく、収納のほうを暮らしに寄せていく。可動棚はそのための道具です。

渡部邸の可動棚の全景。棚板が複数段入った引きのカット

渡部邸の収納。この棚板は、一段ずつ好きな高さに動かせます

ご自宅の棚が可動棚かどうかの見分け方

棚板の左右(奥行きのある収納では、その奥側にも)の壁に、穴が等間隔に並んだ細長い金属の部材が、縦向きに入っていませんか。

それがあれば、可動棚です。棚板の下をのぞくと、その部材から小さな金具が出て、棚板を受けているのが見えます。

覚えるのは、3つの部品だけ

可動棚は、シンプルな仕組みでできています。登場する部品は3つだけ。それぞれの役割がわかると、あとは迷いません。

  1. 部品 01

    レール

    壁に縦向きに入っている、穴が等間隔に並んだ金属の部材。壁の下地にビスで留まっていて、棚全体の重さを受けています。動かしません。

  2. 部品 02

    金具

    レールの穴に差し込んで、棚板を下から受ける部品。高さを変えるとき、動かすのはここです。手で簡単に抜き差しできます。

  3. 部品 03

    棚板

    ものを載せる板。金具の上に載っているだけで、ビスなどで留まってはいません。だから、持ち上げれば外れます。

渡部の言葉を借りると、こうなります。

「可動棚にはこういうレールが付いてまして、金具が引っかかっております」

引っかかっているだけ、というのがこの仕組みの要です。引っかけ直せば、高さが変わる。だから工具がいりません。

レールの穴に金具が差し込まれている状態のアップ

レールの穴に、金具が差し込まれています。触ってよいのは、この金具と棚板だけです

道具はいりません

ドライバーも、脚立も、基本的には使いません。棚板を持ち上げる力と、金具を抜き差しする指先があれば十分です。高い位置の棚を動かすときだけ、ぐらつかない安定した踏み台をお使いください。

高さが揃うしくみ|レールの番号を使う

可動棚でいちばんつまずきやすいのは、棚板が斜めになってしまうことです。でも、これを防ぐ目印が、はじめから用意されています。

「このレールには番号が振ってありますので、この番号に合わせて差し込み口を調整すると高さが揃っていきます」

1枚の棚板は、複数のレールで支えられています。左右に2本、奥行きのある収納では手前と奥で4本、というつくりが一般的です。

このうち1か所だけ1段ずれると、棚板はそのぶん傾きます。見た目にも気持ちのよいものではありませんし、載せたものが片側に寄って、金具に無理がかかります。

そこで使うのが、レールに刻まれた番号です。すべてのレールで、同じ番号の位置に金具を差す。やることは、これだけです。数えたり、メジャーで測ったりする必要はありません。

レールに刻まれた番号のアップ

この番号が目印。左右のレールで同じ数字を選べば、棚板は水平になります

番号が見当たらないとき

番号の刻印は、製品によって有無も位置も違います。見当たらない場合や、収納の中が暗くて読み取れない場合は、いちばん上の穴から数えて何個目か、という数え方でも高さは揃います。

そのときは、すべてのレールで同じところをスタート地点にするのがこつです。片方は上から、もう片方は下から、と数え方を変えると揃いません。

実際のやり方|5つのステップ

ここからは、渡部が自邸でやっている手順をそのままなぞります。いちばん大事なのは、STEP 2の「まとめて外す」です。

渡部邸での実演の様子。音が出ない環境でも流れがわかります

  1. ステップ1:

    載っているものを下ろして、棚板を外す

    「この棚、まずは外します」。載っているものを先にすべて下ろしてから、棚板を両手で持ち上げます。留まっていないので、そのまま上に持ち上がります。外した棚板は、床に立てかけず、平らに置いておくと安心です。

  2. ステップ2:

    その棚板を支えていた金具を、すべて外す

    「こちらの金具をすべて取り外す」。1か所ずつ動かそうとすると、かえって混乱します。その棚板を支えていた金具を、いったん全部抜いてしまうのが、渡部のやり方です。手前に引けば抜けます。

  3. ステップ3:

    新しい高さの番号を決める

    入れたいものを実際に収納の中に置いて、その上に少し余裕をみた位置の番号を選びます。ぴったりの高さより、指が1本入るくらいの余裕があると、出し入れがぐっとラクになります。

  4. ステップ4:

    短い方を上、長い方を下に差し込む

    渡部邸の金具は、上下で長さの違う形をしています。短い側を上の穴に、長い側を下の穴に。「上から差し込んで、下を刺す」と覚えると迷いません。決めた番号のところで、すべてのレールに同じように差していきます。

  5. ステップ5:

    棚板を戻す

    金具が固定できたら、棚板を戻します。この工程がいちばん、壁を傷つけやすいところです。次の章でくわしくお伝えします。戻したら、棚板の四隅を軽く押して、ぐらつきがないか確かめてください。

外した金具を手に持ったカット。短い側と長い側の形の違い

上下で長さが違う形。短い側が上、長い側が下です

ご自宅の金具の形が違うとき

「短い方が上、長い方が下」は、渡部邸の可動棚で確認できた向きです。金具の形は製品によって変わり、上下の区別がないものもあります。

差し込んでみて、すんなり入らない、ぐらつきが残るという場合は、力を入れずにいったん抜いて、向きを変えて試してみてください。それでもわからないときは、金具を写した写真を一枚お送りいただければ、こちらで確認してご案内します。

気をつけたいこと|いちばんは、戻すとき

動画のなかで、渡部が「十分に気をつけて」と言っているのは1か所だけです。棚板を戻す場面でした。

「戻すときにクロスとか壁が傷ついてしまう可能性があるので、十分に気をつけて設置してください」

棚板の角が、壁に当たります

棚板は、収納の幅にぴったり収まるサイズでつくられています。つまり余白がありません。斜めに持ったまま入れようとすると、板の角が左右の壁をこすります。

クロスはこすれると毛羽立ち、強く当たれば破れます。木部にも、線状の傷が残ります。一度ついた傷は、元には戻りません。高さ調整でいちばん多い失敗は、じつはここです。

棚板を戻すときの3つのこつ
  • 水平に近い角度で、まっすぐ下ろすように入れる(斜めに差し込まない)
  • 幅の広い棚板や、重い棚板は二人で持つ。片側を支えてもらうだけでも、当たり方が変わります
  • 入り口で引っかかったら、押し込まずに一度引き出す。力で通そうとした先に、傷がつきます
棚板を両手で持って戻しているカット

両手で支えて、水平に。急がないことが、いちばんの傷対策です

レール本体のビスは、外さないでください

レールは、壁の下地にビスで留まっています。棚に載ったものの重さは、最終的にこのビスと下地が受けています。

高さの調整に、レールを動かす必要はありません。触っていただくのは、金具と棚板だけ。レールの位置がずれている、ビスが浮いてきたという場合は、ご自身で締め直さず、担当ホームプランナーまでご連絡ください。

重いものは、下の段へ

棚を組み替えたあとは、載せ方も見直しどきです。重いものを下の段に、軽いものを上の段に。それだけで、棚全体は安定します。

棚板が目に見えてたわんでいる、金具のあたりからきしむ音がする、金具が下を向いてきた。これらは載せすぎのサインです。いったん減らして、ご相談ください。

棚板は、あとから増やせます

高さを変えても収納量が足りない。そんなときは、棚板そのものを増やすという手があります。

「収納量がもう一個足りなくなってきたなとか、そういったことがあれば、一枚追加することも可能です」

レールが通っている範囲であれば、段を足すことはできます。棚板と金具を用意すれば、あとは同じ手順です。

ただし、棚板は収納の幅に合わせた寸法でつくられています。既製品を買ってきて入れる、というわけにはいきません。また、載せられる重さはレール・金具・壁の下地の組み合わせで決まるため、何段でも自由に、というものでもありません。

棚を増やしたいと思われたら、担当ホームプランナーのグループLINEにお声かけください。今の収納の状態を確認したうえで、追加できる枚数と、無理のない置き方をご案内します。

ご相談のときに、あると助かるもの

収納の中を写した写真が一枚あると、話が早く進みます。棚全体が入る引きのカットと、レールが写ったカットの2枚をお送りいただけると、寸法の確認がスムーズです。

こんなときどうする?|Q&A

オーナーさまからいただきそうなご質問を、まとめました(タップで開きます)。

棚がガタつく、水平になっていない気がする

まず、その棚板を支えている金具が、すべて同じ番号の位置に入っているかを確かめてください。1か所だけ1段ずれていると、棚板は傾きます。

番号が揃っているのに傾く、ぐらつきが直らないという場合は、金具が奥までしっかり掛かっていないことがあります。いったん外して、上から差し込み直してみてください。

それでも直らないときは、無理に使わず、担当ホームプランナーまでご連絡ください。

レールに番号が見当たりません

番号の刻印は、製品によって有無も位置も違います。収納の中が暗くて読み取れない、ということもあります。

その場合は、いちばん上の穴から数えて何個目か、という数え方でも高さは揃います。すべてのレールで、同じところをスタート地点にしてください。

お手元のレールがどちらのタイプか分からないときは、レールを写した写真を一枚お送りいただければ、こちらで確認してご案内します。

棚は何段まで増やせますか

レールが通っている範囲であれば、段を増やすことはできます。ただし、棚板と金具を追加する必要があります。

また、載せられる重さはレール・金具・壁の下地の組み合わせで決まるため、何段でも自由に、というわけではありません。

段を増やしたいときは、まず担当ホームプランナーのグループLINEにご相談ください。今の収納の状態を確認したうえで、追加できる枚数と置き方をご案内します。

重いものを載せても大丈夫ですか

載せる重さは、棚板1枚ごとに考えてください。重いものは下の段へ、軽いものを上の段へ。これだけで、棚全体はずいぶん安定します。

棚板が目に見えてたわんでいる、金具のあたりからきしむ音がする、金具が下を向いてきた。こうしたときは、載せすぎのサインです。いったん減らして、担当ホームプランナーにご相談ください。

自分で調整してよいのでしょうか

オーナーさまご自身でしていただける作業です。道具もいりません。むしろ、暮らしに合わせて動かしていただくためについている仕組みです。

ただし、壁に留まっているレール本体のビスは外さないでください。レールは壁の下地に固定されていて、棚全体の重さを受けています。触ってよいのは、金具と棚板だけとお考えください。

家のほうを、暮らしに合わせる|リガードから

リガードから一言

動かしていい、と知っているだけで変わります

可動棚の高さを変えるのに、特別な技術はいりません。棚板を外して、金具を抜いて、同じ番号に差し直す。それだけです。むずかしいのは手順ではなく、「動かしていい」と気づくことだと思っています。

家は、引渡しの日が完成ではありません。子どもが生まれ、荷物が増え、暮らし方が変わっていく。そのたびに家のほうを少しずつ寄せていけるのが、注文住宅の良さです。可動棚は、その小さな一歩です。

「うちの棚はどこまで動かせる?」「この金具、上下の向きはこれで合っている?」——迷ったら、写真を一枚お送りください。担当ホームプランナーが確認して、ご案内します。

まとめ

この記事のポイント
  • 収納の棚の多くは可動棚。引渡し時の高さは完成形ではなく、あとから動かせます
  • 部品はレール・金具・棚板の3つだけ。動かすのは金具と棚板で、レールは動かしません
  • 棚を水平にする目印はレールに刻まれた番号。すべてのレールで同じ番号に合わせます
  • 番号が見当たらないときは、いちばん上の穴から数える。スタート地点を揃えるのがこつです
  • 金具は短い方が上、長い方が下(渡部邸で確認できた向き。形が違う場合は無理に差し込まないでください)
  • いちばん気をつけたいのは棚板を戻すとき。斜めに入れると、クロスや壁に傷が残ります
  • 棚板の追加もできます。担当ホームプランナーのグループLINEにお声かけください

今回は、渡部邸の可動棚の高さ調整をお届けしました。

収納に入らないものが出てきたとき、入れ方を工夫するより先に、棚の高さを変えてみる。数分で終わって、しかも何度でもやり直せます。

次回も、暮らしのなかの等身大のお手入れをご紹介します。

収納や可動棚のことで、気になることはありませんか?

リガードでは、オーナーさまへの引渡し後のサポートも大切にしています。

担当ホームプランナーのグループLINEに、お写真やメッセージをお送りください。些細なことでも、お気軽にご相談いただけます。