土地探しで、最初に決めるのは「順番」

土地から探す家づくりで、いちばん大事なのは「決める順番」です。土地の良し悪しを見る目より、先に効いてきます。

土地探しを始めるとき、多くの方は「予算は、だいたいこのくらい」という感覚を持っています。ただ、その「このくらい」が土地の予算なのか、家全体の総予算なのかがあいまいなまま、不動産サイトを見はじめることが少なくありません。

そこへ、条件のいい土地が出てきます。駅から近い、日当たりがいい、学区がいい。「この土地は、すぐに決まってしまいますよ」と言われ、数日のうちに判断を迫られる。そのとき手元にあるのは、土地の価格だけ。建物の見積もりは、まだありません。こうして土地が先に決まり、建物の予算は「残り」で決まっていきます。

よくある順番

土地から決める

  1. 気に入った土地が先に決まる(数日で判断)
  2. 残った予算で、建物の見積もりを取る
  3. 足りない分を、広さ・性能・設備で調整する

建物が「残りでつくるもの」になり、削る場所を探す家づくりになりやすい

おすすめの順番

総予算から決める

  1. 返済できる額から総予算の上限を決める
  2. 希望の広さ・性能で建物に必要な額を先に押さえる
  3. 残りを土地の上限にして、その範囲で探す

上限が先にあるので、いい土地が出たときに迷わず決められる

おすすめの順番は、土地を諦めるための順番ではありません。むしろ逆で、上限が決まっているからこそ、いい土地が出たときに即断できる。土地探しで強いのは、目利きの人より「自分の上限を知っている人」です。

なぜ土地から決めると、建物が削られるのか

理由は、土地と建物では「決まる速さ」と「お金の見え方」が違うからです。この2つが重なると、建物側が後回しになります。

土地は数日で決まり、建物は数か月かけて決まる

土地は、売主と買主がいる「市場の商品」です。条件のいい土地ほど、買いたい人が複数いて、判断の猶予は短い。いっぽう建物は、間取り・性能・設備を打ち合わせながら、数か月かけて形になります。速いほうが先に決まり、遅いほうが残りを引き受ける。順番を意識しないと、自然にそうなります。

土地の価格は、土地にかかるお金の「一部」

もうひとつ、見え方の問題があります。不動産サイトに出ている価格は「土地の売買代金」で、土地にかかるお金のすべてではありません。仲介手数料や登記の費用、そしてその土地だからこそ建物側にかかる費用が、あとから見えてきます。

土地の価格には含まれない、代表的なお金
  • 仲介手数料・登記費用・印紙税・不動産取得税──土地の売買にともなう諸費用。多くは現金で払います
  • 地盤改良──地盤が弱いと補強が必要です。数十万円から、百万円を超えることも
  • 造成・擁壁・解体──高低差のある土地、古家つきの土地で発生します
  • 上下水道・ガスの引き込み──前面道路から敷地内まで引く工事。引き込みがない土地は要注意です
  • 防火地域・準防火地域の仕様──都市部に多く、窓やドアの仕様が上がる分、建物の費用が増えます

つまり、「土地3,000万円」は、土地にかかるお金のスタート地点です。ここを見ないまま土地を決めると、建物の予算が二重に削られます。土地代で削られ、土地に由来する追加費用でまた削られる、という形です。

配分は「場所」で決まる──東京都と千葉県の実データ

では実際に、土地から建てた方は、土地と建物にどれくらいずつかけているのか。東京都と千葉県では、配分がほぼ逆転しています。

住宅金融支援機構が毎年まとめている「フラット35利用者調査」には、土地を買って注文住宅を建てた方の平均が、都道府県別に出ています。2025年度の数字を見てみます。

東京都では、土地のほうが建物より高い。千葉県では、建物に7割をかけている。そして敷地の広さは、東京都の約124㎡に対して千葉県は約239㎡と、およそ2倍です。どこに建てるかを決めた時点で、土地と建物の配分は半分決まっている、と言ってもいいくらいです。

だからこそ、土地探しは「土地の予算」ではなく「総予算」から始める必要があります。同じ総予算でも、東京都内で探すなら土地が半分以上を占め、千葉県で探すなら建物に7割を回せる。土地にいくらまでかけられるかは、総予算と、建てる場所の両方が決まってはじめて出てくる数字です。

建築中の木造の構造(上棟後の骨組み)を見上げたカット

この5年で上がったのは、土地より建物

「土地で予算を使いすぎる」失敗が、いま以前より痛いのには理由があります。この5年、東京都でも千葉県でも、大きく上がったのは土地より建物だからです。

同じ調査の2020年度と2025年度を、土地から建てた方の平均で比べます。

東京都
+41%
建物の値上がり・2020年度 → 2025年度
  • 建物 約2,650万円 → 約3,730万円
  • 土地の値上がり +23%
千葉県
+34%
建物の値上がり・2020年度 → 2025年度
  • 建物 約3,010万円 → 約4,020万円
  • 土地の値上がり +18%

※住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」2020年度・2025年度、土地付注文住宅・都道府県別の平均値。年度ごとに回答者は異なります。

建物は、東京都で約1,090万円、千葉県で約1,010万円上がりました。5年で3〜4割の値上がりで、土地の上がり幅(2割前後)を上回っています。木材や設備の価格、職人の人件費が上がったことが、そのまま建設費に乗っています。

土地も、上がっていないわけではない

国土交通省の令和8年地価公示(2026年1月1日時点)では、住宅地の価格は前年より東京都で+6.5%、千葉県で+4.6%。土地と建物の両方が上がっている局面です。

この数字が意味すること

土地で予算を使い切り、「建物は残りで」という進め方をすると、削る対象になるのは、この5年でいちばん上がった建物側です。そして建物で削られやすいのは、あとから足しにくいもの。断熱や耐震といった性能は、建ててから上げるのが難しい部分です。土地探しの前に建物に必要な額を押さえておく理由は、ここにあります。

決める順番|総予算 → 建物 → 土地の上限

ここからは手順です。むずかしい計算は必要ありません。3つの数字を、この順番で置いていくだけです。

  1. 総予算の上限を、「返せる額」から決める

    総予算 = 土地 + 建物 + 諸費用 + 予備費

    出発点は「借りられる額」ではなく、毎月いくらまでなら家計が回るかです。目安として、年1.2%・35年・元利均等で借りると、借入1,000万円あたり毎月およそ2.9万円。「毎月14.6万円までなら家計が回る」というご家庭なら、借入の目安は5,000万円です。そこに自己資金を足した額が、総予算の上限になります。

    総予算には、土地と建物だけでなく、諸費用と予備費を最初から入れておきます。諸費用の内訳は総額の記事で整理しています。

  2. 建物に必要な額を、土地が決まる前に押さえる

    建物 = 本体工事 + 付帯工事 + 外構

    希望の広さ・性能・設備で、建物の概算を先に出してもらいます。土地が決まっていなくても、延床面積と仕様が決まれば概算は出せます。ここで大事なのは、本体価格だけでなく、付帯工事や外構まで含めた「建物まわりの総額」で見ておくこと。

    この数字があると、土地を見たときに「この土地なら、建物はこのくらいの予算が残る」が、その場で計算できるようになります。

  3. 残りを土地の上限にして、探す条件に翻訳する

    土地の上限 = 総予算 − 建物 − 諸費用 − 予備費

    残った金額が、土地にかけられる上限です。この上限を「エリア・駅からの距離・広さ」の条件に翻訳して、土地探しを始めます。第3章の配分を思い出してください。同じ土地の上限でも、東京都内で探すか千葉県で探すかで、買える広さや場所は大きく変わります(敷地の平均は東京都 約124㎡・千葉県 約239㎡)。

    上限は、不動産会社にも伝えておきます。「土地の予算は◯◯万円まで、ただし造成や引き込みが必要な土地はその分を差し引いて考えたい」と言えると、紹介される土地の精度が上がります。

上限を先に決めるのは、諦めるためではありません

条件のいい土地ほど、判断に使える時間は短い。そのときに「うちの土地の上限は◯◯万円」「この土地は造成が必要だから実質◯◯万円」と即座に言えるかどうかで、結果は変わります。上限を決めておくことは、土地探しの速度を上げるための準備です。

金利が上がる局面ほど、この順番が効く

金利が0.25%上がったとき、毎月の返済額は借入1,000万円あたりおよそ1,200円ふえます(金利③の記事で試算しています)。影響は借入額に比例するので、土地で予算を使いすぎて借入額が膨らむと、金利が上がったときの負担も、そのぶんだけ大きくなります。金利はわたしたちには動かせませんが、いくら借りるかは、土地探しの前に決められます。

土地から買うときの、お金の流れ

土地から建てる場合、お金は何回かに分けて、建物が完成する前に出ていきます。この流れを知らないと、総予算は合っていても「そのときに払えない」が起こります。

土地の契約から完成までに、払うお金の節目

一般的な流れ。回数や割合は建築会社・金融機関によって異なります

土地の契約・決済
手付金・残代金
仲介手数料・登記費用も
着工
着工金
工事請負代金の一部
上棟など
中間金
工事の節目で支払い
完成・引き渡し
残金
住宅ローンの実行

住宅ローンは、建物が完成してから実行されるのが基本です。土地代や着工金のように完成前に払うお金は、自己資金か、つなぎ融資・土地先行融資で手当てします。

つなぎ融資と土地先行融資

住宅ローンの多くは、建物が完成し、担保となる家が登記されてから実行されます。そこで、完成前に必要な土地代や着工金を一時的に借りるのがつなぎ融資です。住宅ローンの実行時にまとめて返し、つなぎの期間分の利息は別に払います(融資金から前払いで差し引く銀行が多いです)。もうひとつ、土地の購入時に住宅ローンの一部を先に実行する土地先行融資(分割実行)という形もあります。

どちらも、「知らなかった」が起こりやすいお金を伴います。つなぎ融資は住宅ローンより金利が高めで、手数料も別。土地先行融資は住宅ローンの金利ですが、建物が完成する前から利息の支払いが始まり、登記(抵当権の設定)が2回必要です。扱いのある金融機関とない金融機関があり、条件もそれぞれです。金額としては総予算の中で大きな項目ではありませんが、予備費の中に見込んでおくと安心です。

現金が必要なタイミングに注意

土地の手付金、仲介手数料、登記の費用は、融資が始まる前に現金で払うことが多いお金です。「ローンは通ったのに、契約のときに手元の現金が足りない」とならないよう、自己資金のうちいくらをこの時期に使うのかを、土地探しの前に分けておいてください。

完成した住まいの庭や玄関まわりで家族が過ごす様子
リガードの想い

土地探しは、建物といっしょに。

土地と建物を別々に考えると、どちらかが「残り」になります。わたしたちリガードは、土地が決まる前に、土地・建物・諸費用まで含めた資金計画書をおつくりし、総予算と建物に必要な額を先にいっしょに確認しています。土地の上限が先に見えていれば、いい土地に出会ったとき、安心して決められるからです。

「人が、まんなか。」というブランドコンセプトのとおり、わたしたちが見ているのは土地の条件そのものではなく、その土地で、ご家族がどう暮らすかです。土地の弱点は、建築家の設計でカバーできることも多くあります。だからこそ、土地と建物を切り離さずに考えたいと思っています。

まとめ|土地探しは、上限が決まってから

土地から探す家づくりの資金計画は、ほとんどが「順番」の話でした。最後に整理します。

この記事のポイント
  • 土地は数日で決まり、建物は数か月かけて決まる。先に土地を決めると、建物が「残りでつくるもの」になりやすい
  • 土地の価格は、土地にかかるお金の一部。諸費用・地盤改良・造成・引き込みが、あとから建物の予算を削る
  • 配分は場所で決まる。東京都は土地53%・建物47%、千葉県は土地29%・建物71%。敷地の広さも約2倍違う
  • この5年、東京都も千葉県も土地より建物のほうが大きく上がった。土地で使い切ると、削るのはいちばん上がった建物側
  • 決める順番は総予算 → 建物に必要な額 → 土地の上限。上限を「エリア・距離・広さ」の条件に翻訳してから探す
  • 土地代や着工金は完成前に払う。つなぎ融資・土地先行融資と、現金で払う諸費用を予算と時期の両方で見込む

いい土地に出会えるかどうかは、運の要素もあります。でも、出会ったときに迷わず決められるかどうかは、準備で決まります。総予算と建物に必要な額を先に置いて、土地の上限を知ってから探しはじめる。この順番が、土地から建てる家づくりの、いちばん確かな土台になると思います。

この記事の数字の使い方

この記事の金額は、住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」の平均値です。フラット35を利用した方の集計なので、変動金利で借りた方は含まれていません。また平均は、大きな金額に引っぱられやすい数字でもあります。

ですので、この記事の数字をそのまま目標にするのではなく、ご自身の年収・自己資金・希望のエリアを入れて、ご自身の総予算を出してみてください。返済額の目安は各金融機関のシミュレーターで、土地の相場は実際の物件情報で確かめられます。判断に迷うときは、ファイナンシャルプランナーなどお金の専門家に相談する方法もあります。

この記事は2026年10月時点の情報です。地価や建設費は動きますので、その点もあわせてご覧ください。

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