「契約後に増えた」は、なぜ起きる?
まず知っておきたいのは、注文住宅は「完成形がまだ決まりきっていない段階で契約する」ことが多い、という点です。ここに増額の根っこがあります。
建売住宅なら、できあがった家を見て価格も決まっています。けれど注文住宅は、これから一緒につくっていく家です。契約のあとも、間取りや設備の打ち合わせは続きます。土地を実際に掘ってみないとわからないこともあります。つまり、契約の時点では、まだ金額が完全には固まりきっていないのです。
だからこそ、「何が決まっていて、何がまだ動くのか」を知っておくことが、増額への一番の備えになります。次の章で、増える原因を具体的に見ていきましょう。
増額をまねく、主な4つの原因
契約後に金額が動く理由は、おおむね次の4つに整理できます。どれも「あとからわかる」「やりたくなる」「見落としていた」という、ごく自然なことから生まれます。
土地の地盤が弱いと、補強する工事が必要になります。地盤は実際に調べてみないとわからず、契約後に費用が発生することも。数十万円〜100万円を超えることもある、見落とせない項目です。
打ち合わせを進めるうち、「キッチンはやっぱりこれ」「床材を上のグレードに」とこだわりたくなるもの。1つひとつは小さくても、積み重なると大きな差になります。
「もう一部屋ほしい」「窓を大きく」。暮らしを思い描くほど、図面は変わっていきます。設計が変われば、材料も手間も変わり、金額が動きます。
外構(庭・駐車場)、屋外の給排水、地盤調査、登記などの費用は、建物の本体価格に入っていないことがあります。「別途」だったお金が、あとから見えてくるパターンです。
4つのなかでも、いちばん多くの方にあてはまるのが④付帯工事・諸費用の見落としです。外構(庭・駐車場)、屋外の給排水、登記、各種手数料──どれも家には欠かせないのに、建物の本体価格には入っていないことが多く、最初の見積もりでは見えにくい。1つずつは小さくても、合計すると数百万円規模になることもあります。①の地盤改良も、契約前には金額が読めない「見えにくい費用」のひとつです。だからこそ、安い・高いの前に「本体以外に、何がいくらかかるのか」を最初に確かめておくことが、増額対策のいちばんの近道になります。
なお、この4つのほかに、契約から実際の着工までに時間が空くと、その間の資材や人件費の値上がりで金額が動くこともあります。近年は建材価格の上昇が続いているため、頭の片すみに置いておくと安心です。
「最初の見積もり」が安く見える、ほんとうの理由
「最初に見せてもらった見積もりは安かったのに…」。この感覚の正体は、多くの場合「最初の見積もりに、まだ含まれていない項目があった」ことにあります。
会社を選ぶ段階の見積もりは、建物の本体価格が中心で出てくることがよくあります。先ほどの付帯工事や諸費用、地盤改良などは、その時点では「未確定」だったり「別途」だったりします。決して悪意があるとはかぎりませんが、結果として最初の数字は実際より小さく見えやすいのです。
大切なのは、安い・高いの前に「この金額に、何が含まれていて、何が含まれていないのか」を確かめること。同じ「3,000万円」でも、どこまで入っているかで意味はまったく変わります。含む範囲をそろえて、はじめて比べられる──これは増額対策の土台です。
つまり「契約後に増えた」の多くは、魔法のように金額が膨らんだのではなく、最初は見えていなかった分が、あとから見えるようになったとも言えます。だとすれば、最初から見えるようにしておけばいい。これが、次の打ち手につながります。
自分でできる、増額を防ぐ4つの打ち手
増額の仕組みがわかれば、対策はシンプルです。特別な知識はいりません。次の4つを意識するだけで、「知らないうちに膨らむ」をぐっと減らせます。
- 契約前に「総額」と「含む範囲」を確認する 本体価格だけでなく、付帯工事・諸費用・外構まで含めた総額を聞きましょう。あわせて「何が含まれ、何が”別途”か」を一覧でもらえると、見えていない部分がなくなります。
- 地盤改良費を「いくら想定しているか」聞く まだ地盤調査前でも、「もし必要なら、いくらで見ていますか」と聞いておく。仮の金額でも見込んでおけば、あとで大きく慌てずにすみます。
- 変更するたびに、その場で金額を確認する 設備や間取りを変えるとき、「これを変えると、いくら変わりますか?」を口ぐせに。1つずつ確認すれば、知らないうちに積み上がることはありません。
- 予備費を、総額の1割ほど持っておく 打ち合わせの中で「やっぱりこうしたい」が出てくるのは、家づくりではごく自然なこと。あらかじめ余白を持っておくと、選択肢を前向きに楽しめます。
どれも、むずかしいことではありません。共通しているのは「金額を、見えないままにしない」という姿勢です。聞きにくいと感じるかもしれませんが、誠実な会社ほど、こうした質問を歓迎してくれるはずです。
増額=悪ではない──2種類の増額のちがい
ここまで「増額を防ぐ」話をしてきましたが、いちばん伝えたいのはこれです。増額そのものが悪いわけではありません。問題なのは、”知らないうちに”膨らむことだけなのです。
同じ「金額が増える」でも、中身はまったく違います。下の2つを見比べてみてください。
- 自分の意思で「これがいい」と選んでいる
- 変えるたびに金額がわかっている
- 総額の見通しが立っている
- =暮らしを良くするための前向きな投資
- 最初から見積もりに入っていなかった
- 金額を確認しないまま進んでいる
- 総額が最後まで見えない
- =あとから不安・不信につながる
たとえば「キッチンを上のグレードにして50万円増えた」としても、自分で選び、金額に納得しているなら、それは満足度の高いお金の使い方です。家づくりは、こだわりを形にしていく時間でもあります。めざすのは「増額ゼロ」ではなく、「すべての増額に、自分が納得できている状態」。そう考えると、肩の力が抜けるのではないでしょうか。
リガードの場合
リガードでは、お金の不安をできるだけ早く小さくしていただけるよう、「最初に、できるだけ見えるようにする」ことを大切にしています。
リガードでは、注文住宅にかかる可能性のある項目を一覧で見える化した「資金計画書」を、お客さまごとに作成しています。本体価格だけでなく、付帯工事・諸費用・外構など、あとから出てきがちな費用も含めて、最初にまとめてお見せする。「見えなかった費用」をできるだけなくすことが、安心して家づくりを進めていただくための土台だと考えているからです。打ち合わせで仕様が変わるときも、その都度ご一緒に金額を確認しながら進めます。
増額が起きること自体を否定するのではなく、そのすべてに、お客さまが納得して進めること。それが、あとから「こんなはずじゃなかった」を生まない、いちばんの近道だと考えています。
価格は、安心して選んでいただくための「情報」。
家の値段は、人生でいちばん大きな買いものの一つです。だからこそ、わたしたちは数字の見せ方で迷わせないことを大切にしたいと考えています。何にいくらかかるのかを、できるだけ早く、できるだけ正直にお伝えする。それが、ご家族が前向きに家づくりを楽しむための土台になると思うからです。
「人が、まんなか。」というブランドコンセプトのとおり、見ているのは数字そのものではなく、その先で、ご家族が納得して選んでいけることです。お金の不安は、正しい情報で、きっと小さくできます。
もっと知りたい人へ|お金と選び方
お金の話は、増額対策だけでは終わりません。隣り合うテーマもあわせて読むと、家づくりのお金の全体像が、ぐっとクリアになります。
家づくり全体の流れから知りたい方は、注文住宅、何から始める?──家づくりの全体像と、最初の一歩もあわせてどうぞ。
まとめ|仕組みを知れば、増額はこわくない
- 注文住宅は完成形が決まりきる前に契約するため、契約後も金額が動きやすい
- 主な原因は地盤改良・仕様アップ・設計変更・付帯費用の見落としの4つ
- 「最初の見積もり」は含まれない項目があり、実際より安く見えることがある
- 防ぐ鍵は、総額・含む範囲・地盤改良の想定を契約前に確認し、変更のたびに金額を確かめること。予備費は1割ほど
- 増額=悪ではない。めざすのは「増額ゼロ」ではなく「すべての増額に納得できている状態」
「契約後に増える」という言葉だけを聞くと、不安になります。けれど、その正体は“最初は見えていなかった分が、あとから見えてくる”こと。だとすれば、最初から見えるようにしておけば、こわがる必要はありません。「で、総額はいくら?」「これを変えるといくら?」──この2つを聞けるようになれば、もう増額に振り回されることはなくなります。
