「等級3だから安心」だけでは足りない理由
まず前提として、耐震等級3は、いまの住宅で選べる最高ランクです。建築基準法が求める強さの1.5倍にあたり、消防署や警察署など、災害時の拠点となる建物にも求められる水準です。地震に備えるなら、ここを目指すのが基本になります。
では、なぜ「等級3だけでは足りない」と言われるのでしょうか。理由は大きく2つあります。
理由①:同じ「等級3」でも、中身が同じとは限らない
じつは耐震等級は、2つの計算方法のどちらでも取得できます。一つは「壁量計算」という簡易な方法、もう一つは「構造計算(許容応力度計算)」という、柱・梁・基礎の一本一本にかかる力まで細かく確かめる方法です。同じ「等級3」と書かれていても、どちらで確かめたかで、強さの裏づけの濃さが変わります。(この落とし穴は、別記事でくわしく整理しています。)
理由②:大地震は、一度では終わらない
2016年の熊本地震では、観測史上はじめて震度7の揺れが2回、同じ地域を襲いました。一度目に耐えた家が、二度目で倒れてしまう──そうした被害が現実に起きたのです。「一回の大きな揺れに耐える」だけでなく、繰り返しくる揺れに耐え続けられるかが問われるようになりました。
震度7を2回観測した益城町中心部では、建物の悉皆(しっかい=全棟)調査が行われ、そのデータを国の委員会(国土技術政策総合研究所・建築研究所)が分析しました。その結果、耐震等級3の木造住宅には倒壊がなく、多くが無被害でした(16棟中14棟が無被害/倒壊ゼロ)。「等級3を、確かな計算で」という方向性が、データで裏づけられたといえます。一方で、繰り返しの揺れの怖さも、同時に浮き彫りになりました。
倒れない家は「重ねて」つくる──4つの備え
ここからが、この記事の中心です。倒れない家は、一つの工夫だけで生まれるものではありません。役割のちがう備えを、4段に重ねるイメージで考えると、すっきり整理できます。
まず「どれだけの強さを目指すか」の目標を、最高ランクの等級3に置きます。建築基準法の1.5倍。すべての出発点になる、いちばん大事な土台です。
その等級3を、柱・梁・基礎の一本一本にかかる力まで計算して確かめます。簡易な計算ですませず、いちばんくわしい方法で裏づける。これで「図面上の等級3」が「中身のある等級3」になります。
固く耐えるだけでなく、揺れのエネルギーそのものを吸収するしくみを加えます。建物が受けるダメージを抑えるので、熊本地震のような繰り返す揺れに対して、強さを保ちやすくなります。
最後に、その設計の家にパソコン上で実際の地震波を与え、「倒れないか」を事前に検証します。計算で強さを確かめるだけでなく、揺れたときの動きそのものを見て確かめる、もう一段の備えです。
①で目標を決め、②で根拠を確かにし、③で繰り返しに備え、④で建てる前に確かめる。それぞれ役割がちがうからこそ、重ねる意味があります。一つだけでは惜しい状態でも、4段そろうと、安心の確かさがぐっと増します。
建てる前に、倒れ方を見る──3Dシミュレーション
4つのなかでも、いちばんイメージしづらいのが3Dシミュレーションかもしれません。これは、設計した家のデータをパソコンに取り込み、実際に起きた地震の揺れを与えて、どう動くか・倒れないかを画面の中で確かめる技術です。
代表的なものに、「wallstat(ウォールスタット)」という木造住宅の倒壊解析ソフトがあります。京都大学の研究者が中心となって開発し、国の研究機関(建築研究所・国土技術政策総合研究所)などとも連携してつくられた、信頼性の高い解析技術です。図面の上だけでは見えない「揺れたときの本当の動き」を、建てる前に見られるのが大きな価値です。
※リガードでは、3Dシミュレーション(wallstat)で熊本地震の波形をもとにした震度7相当の揺れを3回連続で与え、主要構造部に大きな損傷が見られない設計であることを確認しています。実際の地震の揺れは波形・地盤などにより一邸ごとに異なります。
大切なのは、「一度の揺れ」ではなく「繰り返す揺れ」を想定して確かめていることです。熊本地震の教訓が、こうした検証の設計に活かされています。建ててから「思っていたより弱かった」とならないよう、確かめてから建てる。それが3Dシミュレーションの役割です。
リガードの地震対策(R7G)
ここまでの「4つの備えを重ねる」という考え方を、リガードは標準仕様として形にしています。木造建築の技術と、京都大学が開発した耐震性能の解析技術を組み合わせた、「R7G」という考え方です。具体的には、次のように備えています。
設計で根拠を固め、制震で繰り返しに備え、3Dで建てる前に確かめ、施工は第三者の目で確認する。「目に見えない強さ」を、ごまかさずに重ねていくという考え方です。万一に備えた地震保証もあわせてご用意しています。
耐震は、見えないところほど、ていねいに。
地震対策の強さは、暮らしはじめてから毎日目に見えるものではありません。だからこそ、見えないところで手を抜かないことが、つくり手の責任だと考えています。等級3という目標を、くわしい計算で裏づけ、繰り返す揺れに備え、建てる前に確かめる。一つひとつは地味な工程の積み重ねです。
わたしたちリガードは、「人が、まんなか。」というブランドコンセプトを掲げています。そこで暮らす家族が、大きな揺れのあとも、変わらず日常に戻れること。そのための備えを、ごまかさずに重ねていく。それが、長く安心して暮らせる家の土台になると信じています。
まとめ|安心は、重ねた備えの上に
- 地震対策は「一つで決まり」ではなく、役割のちがう4つの備えを重ねると考えるとわかりやすい
- 耐震等級3が土台。ただし同じ等級3でも、構造計算で確かめたかで中身の確かさが変わる
- 大地震は繰り返す。揺れを吸収する制震で、二度目・三度目の揺れに備える
- 3Dシミュレーションで、建てる前にパソコン上で「倒れないか」を確かめられる
- リガードは①〜④に第三者検査を加え、全棟で標準化(R7G)している
地震への備えは、一つの数字や工夫だけでは決まりません。けれど、役割のちがう備えを一段ずつ重ね、建てる前に確かめておけば、不安はずいぶん小さくできます。「等級3だから安心」の、その先まで。納得して選んでいただくための材料として、この記事が役立てば嬉しく思います。



