最新の断熱基準「平成25年省エネ基準」における、断熱性能の測り方

平成25年省エネ基準が最新の断熱基準!

家づくりに興味があって、ハウスメーカーや工務店などで情報収集されている方は、「次世代省エネ基準」について耳にした事がおありでしょう。

次世代省エネ基準が出来たのは、品格法の成立と同タイミングの平成11年です。

名前に反して、けっこう古い基準です。

成立時期を冠して「平成11年省エネ基準」とも呼ばれます。

一方、いま日本で最新の基準は「平成25年省エネ基準」と呼ばれるものです。

次世代省エネ基準と言う時には平成11年省エネ基準を指すことが多いですが、平成25年省エネ基準も含めて「次世代省エネ基準」と呼ぶこともあります。

省エネ基準により、日本全国の気候条件に応じて、地域区分ごとに断熱や気密、日射遮蔽の基準値を示すことができます。

では、どのように省エネ基準が変革していったか、見てみましょう。

平成11年省エネ基準の断熱性能

平成11年省エネ基準は品格法に基づく「省エネルギー対策等級」と協働した基準なので、断熱性能の測り方などに同じ考え方を用いています。

省エネ基準には、躯体全体の断熱性能を測るQ値(熱損失係数)と、躯体に入る日射の量を表すμ値(夏期日射取得係数)の基準があります。

延べ床面積当りの熱損失量の多少を示すのが熱損失係数(Q値: 単位はW/m2K)で、部材の熱の通りやすさを表すのが熱貫流率(U値: 単位はW/m2・K)です。

住宅には高断熱高気密化が欠かせないと言われますが、住まい手となる方も、その住宅を施工する業者の方も、予めその数値のもっている建築物理的な意味を知っておいた方が、相互のトラブルや誤解を避けやすくなります。

いずれもリガードが以前の記事で解説していますので、ご参照ください。

Q値(熱損失係数)の問題点

しかし、Q値(熱損失係数)の算出方法にはある意味、問題がありました。

熱は床、外壁、天井など色々な所から逃げて行くのに、建物が損失する熱量を延べ床面積で割って算出する指標だったため、建物の断熱性能を正しく表せていなかった面があるのです。

そこで、Q値(熱損失係数)の問題点を改善する必要がありました。

UA値(外皮平均熱貫流率)のキーワードは「まんじゅうの皮」?

これを是正した指標として、UA値というものが平成25年省エネ基準では使われています。

UA値(外皮平均熱貫流率)とは、建物が損失する熱量を外皮等面積で割ったものです。

外皮とは、まんじゅうの皮のようなものを想像してもらうと分かり易いですが、床、外壁、天井など建物を包み込むすべての部分のことです。

それらの面積をすべて足し合わせたものが、外皮等面積になります。

延べ床面積しか考慮出来なかったQ値に代わり、熱が逃げて行く外皮の面積をすべて計算に含めているため、より精度の高い指標となりました。

同様に、日射の量を表すμ値も、外皮等面積を使って算出するηA値に置き換わっています。

これからは省エネの話をするとき、熱が出入りする境界である「外皮」を含む言葉が頻繁に出てきます。

その度、床、外壁、天井をひっくるめた、まんじゅうの皮のようなものだと思い出してもらえれば幸いです。

次世代省エネルギー基準の目的は、住まいの断熱・気密性能を上げ、少ないエネルギーでも夏は涼しく、冬は暖かく暮らせる家を高く評価することです。

この基準値は、それぞれの地域の気候に合った性能の住宅を建てる目安になります。

まとめ

次世代省エネ基準と、最新の断熱基準「平成25年省エネ基準」によって、気候に合った性能の住宅を建てることができます。

省エネ基準について理解して、快適に暮らせる住まいづくりを実現しましょう。