リガードの基礎工事 vol.10
~定められている構造金物の解説と種類~

リガードの基礎工事 構造金物

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リガードの基礎工事           vol.1 ~前編~
リガードの基礎工事           vol.2 後編①~配筋~
リガードの基礎工事           vol.3 ~鉄筋~
リガードの基礎工事           vol.4 後編②~配筋後~
リガードの基礎工事           vol.5~土台敷き~
リガードの基礎工事           vol.6~上棟~
リガードの基礎工事           vol.7~土台パッキン(床下について)~
リガードの基礎工事           vol.8~制震テープ~
リガードの基礎工事           vol.9~屋根工事~

この記事では、接合部の補強などで使用されている、構造用金物についてご紹介いたします。

国で定められている金物とは

木造住宅に使用する接合金物は、品質が高く、耐力性に優れた『建設省告示1460号』に対応した金物を使用しなければならないと定められています。
リガードでは、公益財団法人日本住宅・木材技術センター<図1・図2参照>が「軸組工法用接合金物」として制定した規格金物である、Zマーク表示金物同等以上の金物を使用しています。

接合金物 Zマーク表示金物
このZマーク表示金物は、平成12年建設省告示1460号「木造の継手及び仕口の構造方法を定める件」に登場する接合金物のモデルにもなっています。
Zマーク表示金物はこのように、国の基準や、仕様書等に応えた接合金物なので、安心して使用することができます。
そのため、性能が担保されている、Zマーク表示金物と同等以上の金物は安心かつ使い勝手が良い金物になっています。
Zマーク金物 木材技術センター
出典元:TANAKA 住宅関連金物カタログVol.31 P.218

金物の特徴について

金物は、支えられる力の大きさによって、ビスの本数やプレートの大きさが異なります
合板を挟んでビスを打つ際、床までビスが届くよう、合板分の長さがプラスで必要になります。
この場合、通常のビスの長さよりも長くなり、ビスの太さが異なるなど、様々な種類のビスが使われています。
そのため、ビスの打ち間違いが起こらないよう、使用部材ごとにメーカーによって、ビスの色を変える等の工夫がされています。

例)柱につくビスはグレー
  桁につくものはピンク(120㎜)か青(85㎜)など

リガードで使われている金物

(1) 短冊金物 
短冊金物は、横架材同士が抜けないように補強するために使用され、継手部分の接合強度を向上させます。特に、耐震等級2以上の住宅で求められる横架材の必要接合部倍率に対応できる耐力を持っており、リガードの住宅で幅広く採用されています。

【特徴】 
①写真の短冊金物は、1枚で短期基準接合耐力10.1kNを確保することができ、耐震性能が非常に高いです。
②Zマーク短冊金物以上の短期基準接合耐力があるため、耐震等級2以上で求められる横架材の必要接合部倍率に対し幅広い
対応が可能です。
③写真の短冊金物は、板厚が0.6mmと薄いため、構造用合板の上からも直張りでき、施工性が優れています。
短冊金物
⇒横架材同士が抜けないよう、補強の為に継手部分に使用します。
出典元:TANAKA 住宅関連金物カタログVol.31 P.93

(2) ホールダウン金物 
ホールダウン金物は、基礎と柱、柱と横架材、上下階の柱相互の接合に使用され、特に地震や風圧などの外的な力が加わる際に、柱の引き抜き耐力を確保する役割を果たします。ホールダウン金物により、建物の安定性が大幅に向上します。

【特徴】 
下記の写真は、ホールダウン金物(短期耐力20kN)とアンカーボルトです。非常に強力な引き抜き力に耐えることができます。
また、写真のホールダウン金物は、ホールダウン専用のビスを使用して耐力を確保し、ビスの間違いがないように管理されています。
ホールダウン金物 アンカーボルト
⇒基礎と柱の緊結、柱と横架材の緊結、上下階の柱相互の緊結に使用します。
 柱の引き抜き耐力に対応するホールダウン金物です。

【荷重の説明】
長期荷重:常時かかってる力(固定荷重と積載荷重)
     固定荷重⇒部材の重さ
     積載荷重⇒人や家具など(1㎡あたりの重さが、建築基準法で決められている)
短期荷重:地震時や積雪時、風が吹いた時などにかかってくる力

⇒ホールダウンは短期の力に耐える金物で、引き抜きの力が働きます。 

【特徴】 
ホールダウン用金物はホールダウン専用のビス(プレートを止める)があります。他の金物よりも耐力がかかるため、ビスが8本も必要で、プレートも長いです。 
このホールダウン専用のビスは、告示でも設定されており、性能を担保できるビスになっています。
せん断耐力(引き抜きの力)から耐えてくれる部品はビスです。
そのため、違うビスだと短期荷重がかかった際、プレートがずれる可能性があるので、専用ビスを使用しないといけません。
出典元:TANAKA 住宅関連金物カタログVol.31 P.137

(3) 筋交い金物
筋交い金物は、建物の耐震性能を高めるために、筋交いの端部を接合する際に使用されます。筋交い金物は、筋交いの接合部を強固にすることで、地震時の建物の揺れを最小限に抑えます。

【特徴】 
写真の筋交い金物は、L型の形状をしており、横架材から離れた位置で筋交いを固定できるため、柱頭柱脚金物との干渉を軽減します。
金物の形状が対称で、上下左右に区別なく取り付け可能です。そのため、施工がスムーズに行えます。
また、写真の筋交い金物は、ハウスプラス確認検査株式会社による接合部金物試験済み商品です。
出典元:TANAKA 住宅関連金物カタログVol.31 P.146
筋交い金物
⇒筋交いの端部を接合するときに使用します。

(4) 垂木止め用ビス 
写真の金物は垂木止め用ビスです。垂木止め用ビスは、垂木と母屋を接合するために使用され、屋根の構造を強固にします。
水上と水下に取り付けられ、屋根全体の安定性を高める重要な金物です。

【特徴】 
写真の垂木止め用ビスは、他の釘やビスと比べて長さと耐力が異なり、特に強度が必要な部分に使用されます。
また、先端に特殊な加工が施されており、木材の割れを防止する設計がされています。
※公材・日本住宅・木材技術センターによる耐力試験済み商品です。
垂木止め用ビス垂木止め用ビス
出典元:TANAKA 住宅関連金物カタログVol.31 P.103

(5) 柱接合金物(スリム、シナー、オメガ)
写真の金物は柱接合金物です。柱と横架材を接合するために使用され、建物全体の構造強度を支えます。
リガードでは、強度や設置場所に応じてスリムコーナー、シナーコーナー、オメガコーナーを使い分けています。
柱と横架材の接合部分に使用します。

スリムコーナー
スリムコーナー
写真のスリムコーナー金物は、小規模な接合部に使用され、短期基準接合耐力3.5kNを確保することができます。
※ハウスプラス確認検査株式会社による接合部性能試験済み商品です。
出典元:TANAKA 住宅関連金物カタログVol.31 P.115

シナーコーナー
シナーコーナー
横架材と柱をビスで強固に固定します。写真のシナーコーナー金物は、ホールダウン金物と併用され、より強力な接合部を実現します。
羽子板ボルトやホールダウン金物10kN用の取り付けが必要な、社頭・柱脚の接合に使用できます。
100mmのビスを横架材側に2本、65mmのビスを柱側に4本打ちこみます。

合板(24㎜)の上から固定する場合
専用角ビットビスでとめることにより、床合板を切り欠くことなく、床合板の上から取り付けが可能です。
120mmのビスを横架材側に2本、65mmのビスを柱側に4本打ちこみます。
※ハウスプラス住宅保証株式会社、ハウスプラス確認検査株式会社による接合部性能試験済み商品です。
出典元:TANAKA 住宅関連金物カタログVol.31 P.124

オメガコーナー
オメガコーナー
柱と横架材の接合部に使用します。
写真のオメガコーナー金物は、スリム・シナーコーナーよりもさらに強い力に耐えるため、大きな力がかかる部分に適しています。
※オメガ:ハウスプラス確認検査株式会社による接合部性能試験済み商品です。
出典元:TANAKA 住宅関連金物カタログVol.31 P.128

(6) 火打ち金物
写真の金物は火打ち金物です。火打ち金物は、床組や小屋組の隅部を補強し、建物全体の剛性を高めます。この金物を使用することで、建物が外部からの力に対して強固な構造を形成します。
火打ち金物
⇒床組および小屋組の隅部の補強として使用します。

(7) 羽子板ボルト
羽子板ボルト
写真の金物は羽子板ボルトです。羽子板ボルトは、小屋梁や軒桁、通し柱などの建物の重要な接合部分に使用され、接合部の強度を高めます。
これにより、建物が外的な力に対して安定し、長期間にわたり安全な構造を保ちます。
【特徴】 
写真の羽子板ボルトは、短期基準接合耐力10.0kNを確保し、接合部を強固に固定します。
出典元:TANAKA 住宅関連金物カタログVol.31 P.84

(8) かすがい金物
かすがい金物
写真の金物はかすがい金物です。
かすがい金物は、大引きと床束、柱と横架材などの接合部に使用され、木材同士のズレを防ぎます。特に木造建築において、接合部の強度を確保するために不可欠な金物です。

【特徴】 
断面が三角形になっており、施工後の表面が平らになるため、美しい仕上がりが得られます。
施工時にツメ部が開きにくい設計となっており、確実な固定が可能です。
出典元:TANAKA 住宅関連金物カタログVol.31 P.114

金物検査について

金物の取り付け後は、位置と種類が、図面とあっているかどうかを確認します。
取り付け位置は、柱の内側でも外側でも問題ありません。意匠に影響のない箇所に設置することが重要です。

【用語辞典】
・公益財団法人日本住宅・木材技術センター:林業、木材産業、建設業、建築設計業等に関わる行政、研究機関、団体等と緊密に連携しながら、調査、研究、開発、試験 法令に基づく認証事業などを行っているところ。
⇒ココが認めないとZマーク金物にならない。国が定めた基準にのっとっているか、定められるものの開発。
参照:日本住宅・木材センターHP 財団について
・軸組工法用接合金物:継手、仕口部分に金物が使用され、接合強度が大きく補強されています。

以上が金物についての説明となります。
小さな金物ひとつひとつが、お家の構造を守る大切な役割を担っています。

次の記事では、防水対策についてご説明いたします。

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リガードの基礎工事           vol.11~防水対策の裏側・防水検査の方法とは~
リガードの基礎工事           vol.12~断熱効果を高めるための施工方法~
リガードの基礎工事           vol.13~内部仕上げ~
リガードの基礎工事           vol.14~外装工事の施工内容と、外壁工事からお引き渡しまでの流れ~